もう断乳すべき!と言われた時に応援してくれる「金のリボンの運動」

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レッドリボンキャンペーンはHIV予防のシンボル。

ピンクリボンキャンペーンは
乳がん早期発見を目指す運動のシンボル。


では、金のリボンでは、
何を大切だと言っているのかのお話です。




「まだ飲ませてるの?」と、
おっぱいライフを楽しんでいると、ある日突然に、
冷や水を浴びされるように言われ始めるのが、
赤ちゃんが1歳のお誕生日前後になった頃からでしょうか。


「虫歯が出来るわよ」というごもっともなご意見は、
欲しがるだけあげていいのよ、とお伝えしている私にも
その理由として理解できます。
(そう言わずに、虫歯を予防して軽いうちに治してくれたら、
 もっとありがたいと、思いつつも(*^^*))

しかし、根拠も示さずに、
「我慢の出来ない我が儘な悪い子になるわよ」とか
「もう水になったおっぱいをあげるのは母親の自己満足」とか
「子供を自立させるのも母親の優しさ」と言う、
つまり赤ちゃんを思っているように聴こえる理由で
断乳を勧める人のご意見が、普通に扱われていることには
疑問を感じています。


長くおっぱいをあげると有害なことしかないのでしょうか?


そこでこの「金のリボンの運動」の出番です。

「母乳育児支援ネットワーク
(Breastfeeding Support Network of Japan:BSN)」
http://www.bonyuikuji.net/


に、詳しいユニセフの世界の子供を健康に育てるための、
戦略のひとつとして、少しでも長く母乳をあげることを
目的として生まれた運動なのです。


ユニセフ?
それって発展途上国の子供の健康を守る慈善団体でしょ?
と、思う方も少なくないようですが、
国連の中にあって発展途上国だけでなく先進諸国も
すべての子供の健康を良好な状態に保つための公的な機関です。


BSNのサイト http://www.bonyuikuji.net/?p=272 に
詳しい説明がありますが、
リボンの端はそれぞれ、6ヵ月間は母乳だけで育てることと、適切な補完食(離乳食)を食べさせながら2年かそれ以上母乳育児を続けること。

そして、次の出産を遅らせ、できれば3年以上の間隔で出産 することによって、母親には自分の回復と子どもの世話をするための、子ども には成長と発達のための十分な時間がとれるようにすることを表しています。



6ヶ月まで母乳以外の栄養をとらなかった子には、
アレルギー疾患がミルクだけの子よりも少ないです。

また2歳以上欲しがるまで、と長期の授乳を勧めているのは、
母乳は一般的には飲んだ量に比例して、
赤ちゃんにその利点が届くからです。
長く飲むことで沢山飲めると言うわけです。

膀胱炎や肺炎などの感染症がミルクだけで育った子供の
半分とかそれ以下になる報告もあります。

大人になってもコレステロールや血圧がわずかですが低いです。

知能指数、つまり脳の働きもミルクの子より良好です。




そういう利点がある母乳は、お母さんだけのものではなくて、
赤ちゃんとお母さんと両方の物であり、権利でもあるのです。

二人で、相談して止めて行く道筋そのものが、
その子にとってのかけがえのない物語になって行きます。




ここから先は金のリボンの運動その物に記されてはいませんが、
私が赤ちゃんとそのママと関わってきての感想的なものですが、、、

今まで大好きで何でも自分の希望を聞こうとしてくれていた母親に、
ある日突然、大好きなおっぱいを貰えなくなる赤ちゃんの気持ちは、
どのようなものでしょう。

お母さまが、抗がん剤を使うので、もうご飯も食べる子だから、
母乳を止めましょう、、、などと理由があるならばともかく、
生まれてこれだけ時間が経ったから、と時間だけを理由に、
母乳を止めて、、、確かに夜泣きもピタッと治まる子もいます。

でも、苦労して乳腺炎で熱まで出しながら断乳したのに、
夜泣きは相変わらずで、、、しかも、
もう母乳には見向きもしない子も少なくありません。

大好きなおっぱいのことで「ダメ」と言われることを避けるために、
ちょうだい、と言うことを我慢して避ける子。
おっぱいの飲み方をすぐに忘れる子。。。


おっぱいをやめたから,子供が成長するのでしょうか?
成長して要らなくなるから
子供がおっぱいをやめて行くのでしょうか?


四十歳を不惑、と言うそうですが、、、
まだまだ惑わずの心境にはとてもなれない事もある私です。
一歳になれば自動的にすべての子供が、
きっちり成長するということが本当なのでしょうか。


いつもいっしょにいるお母さまが、
「ほんとうに?」と疑問に思うことには、やはり何かの理由がありそうです。

疑問に思いながら急いで断乳しなくても、
長期母乳をあげることに、科学的根拠のある利点があることより、
もっと時間をかけてお子様と相談して決めても大丈夫、と、
私は思っております。



おばあちゃんが「断乳すべき」と言う時の目的は、
ただ断乳することでなくて、健康で心の逞しい子供に育つこと。
同じ目的を持っているのがたびたびです。

おっぱいをやめる時期を家族とも検討することで、
さらに家族の絆も深まるかもしれませんね。





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おしらせ:
平成22年4月から活動拠点を松山市から
香川県高松市に移動しましたm(_ _)m
同じ思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。





Commented by ウナマキ at 2010-07-01 22:00 x
1歳4ヶ月の娘がいます。 完母でやってきて、1歳前くらいから離乳食を始めましたが、食べる量は相変わらず少なく、母子手帳の基準の半分強くらいです。でも、 体重は9.7kg、身長は79cmと平均的な体型で、順調に成長しています。 おっぱいは一日5回、求められるままにあげています。 でも、検診でも、かかりつけの医師にも、貧血が心配だ。 食べる量が少なすぎるとの理由で授乳量を減らすようにくどくど言われてしまいます。 鉄分を多く含む食事を用意しているのですが、食べる絶対量が少ないため、鉄欠乏症を心配して、のことのようです。 母乳に含まれる鉄分の方が吸収率が一番いいはずなのですが、違うのでしょうか。 やはり、なるべく食べてくれるように授乳量を減らす方向に行かなくてはいけないのでしょうか。

なるべくなら、彼女の自然の食欲に任せて食べさせ、おっぱいも飲みたいだけ飲ませ続けたいと思っています。
ただ、貧血も心配で。 (貧血検査は数値に信頼性がないとも聞いていますし)

アドバイスをいただけますと幸いです。
Commented at 2010-07-01 22:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Dr-bewithyou at 2010-07-02 19:05
ウナマキさま>
出来るだけ赤ちゃんの健康にふさわしい食生活を用意してあげたい、と思うのに、小児科の先生にはその思いが伝わっていないことを残念でそして、もしかして子供の貧血の原因なのだろうか、と少し不安を感じてらっしゃるのが伝わります。

母乳をあげている子どもを対象にした離乳食(補完食)についての情報は
http://smilehug.exblog.jp/10224546/
で、WHOの資料を翻訳したものを読めます。

>>つづく
Commented by Dr-bewithyou at 2010-07-02 19:05
つづき>>>


が、ウナマキさまは、貧血などはすでにお勉強されてらっしゃるようですね。最新の情報以外の見方としまして、私が思いついたのはあくまでもこのコメントの範囲ですので外れているかもしれませんが子供が食べたがらない時、食卓に会話や楽しみが少ないことも時々お見受けします。

お友達とおかずを持ち寄ってプチホームパーティーをしたら食べたとか、パパも一緒に食卓に着くと食べたとか、、、テレビを切って目を合わせたら食べたとか、、、つまり、「食べる」場の空気を変えることで、食に対する興味が湧く子もいるようです。

小児科の先生に「もっと食べさせなさい、母乳を止めなさい」と言われた寂しそうな顔で食卓に向かっていないか、、、もひとつの参考になる子もいるようです。

文章に赤ちゃんを大切にしようという思いが伝わってきました。大切に思ってもらって赤ちゃんは幸せですね(*^^*)
Commented by Dr-bewithyou at 2010-07-02 19:28
010-07-01 22:26 鍵コメさま>
赤ちゃんとママと、自分たちで、
授乳のときの痛みをだんだん解決して行っているんですね。
さすがにおっぱいライフ上級者になってきました\(^o^)/

今の時代はまだ、
母乳をあげる、という当たり前なことをしているのに、
何かとても変わった特別なことをしているように
受け取られることがあって悲しく感じますよね。

お子さんにアレルギーが有る時に、
除去食に効果があることもありますが、
本来母乳自体は同種蛋白ということで、赤ちゃんにアレルギーを
起こしにくい物質なのです。

それを思い,我が子の気持ちを尊重しながら授乳していることを、
小児科の先生や保健師さんも理解してもらえるようになるには、
何をして行く必要があるのか、これからも考えて行きたいと思います。

おっぱいを止めるかどうか、で心を疲れさせずに済むように、
応援しております。よく頑張っていますね。

過ぎてしまえばあっという間のおっぱいライフも、
いずれ一生のうちの、
かけがえのない宝物の時間になって行くことでしょう。
Commented by ウナマキ at 2010-07-03 12:26 x
温かいお言葉とご助言をありがとうございます。
食卓では楽しく、手を変え品を変え試行錯誤しています。 昨日貧血検査の結果が出て若干貧血傾向と言われ、鉄分を強化した食事をするよう叱られてしまいました。

なるべく食べてくれるように頑張りたいと思います。
Commented by Dr-bewithyou at 2010-07-03 23:10
ウナマキさま>
食べないものは食べないし、、、液体から栄養を取り入れる生活を、
固形物から栄養を取り入れる生活に変わるのは大変なようですね。

鉄の多い食材で私がよくお勧めするのは、
有名なレバーの他に納豆(豆製品)、アサリなどもあります。

実際にお逢いしていないので詳しいことではお手伝いできませんが、
ウナマキさまが、赤ちゃんの健康のために、
いろいろ工夫されている気持ちを応援しますね。

IBCLCやラレーチェリーグのリーダーさんを、
ご近所で見つけることが出来ましたら、
何かしらかの応援をしてくれる人を見つけられるかもしれません。

Commented by ブラックバード at 2011-05-23 18:40 x
母乳育児を続けてきましたが心が挫けそうになったので、先生のお考えをお聞きしたいです。

保育園に通う1歳の娘が発熱し病院にいきました。

「食欲はありますか?」
と聞かれ
「もともとご飯はあまり食べず、母乳は変わらず飲んでいます」
と伝えたところ

「母乳を飲んでるから大丈夫といいますが母乳にはそんなに栄養はありませんよ。だからこの子はこんなに軽いのか」

と言われました。保育園でもご飯を食べず、だけど『いつかは食べるさ』と前向きに授乳してきましたが、この一件で挫けそうです。
Commented by Dr-bewithyou at 2011-05-23 21:19
ブラックバードさま>
お子様のお熱で気持ちが不安定になっているときに、
小児科の先生に、母乳育児を否定されたように感じて
悲しく辛く思われてここにいらっしゃったんですね。

お熱が出たのも、ちょっと軽いのも、
何もかもを今までやってきたことに対する否定のように
感じられるのは辛いことでしょうね。

まずは、お母様も、暖かいものを食べながら、
看病に専念して、お熱だと食欲のない子も、
母乳から水分と必要なカロリーと免疫の力とをもらって、
元気になってくれば食欲回復モードになりますから、それから
色々頭を使うことを考えても良いと思います。

どうか親子共々、お大事になさってください。
そして、落ち着いてからもう一度お困りのことを
お知らせくださいすか?
Commented by ブラックバード at 2011-05-25 22:19 x
先日は突然すみませんでした。娘の熱も無事に下がりました。

今までで私は3人目になる娘は母乳育児を頑張ってみよう。と思い頑張ってきました。


お陰様で病気の時も夜泣きの時もおっぱいパワーで乗り越えてきました。

おっぱい飲んでいるから大丈夫


そんな考えで離乳食が進まない事にものんびり構えていた私に、突然「おっぱいだけではダメ」と言われショックでした。

私はこのままおっぱいに頼りきったまま(栄養面)で大丈夫なのか不安になり先生のお考えがききたくなりました。


母乳を減らして離乳食を食べてもらう努力をした方がよいのでしょうか?

当の本人はご飯を散らかして楽しそうです(笑)
Commented by Dr-bewithyou at 2011-05-26 08:57
ブラックバードさま>
お熱が下がって安心ですね(*^_^*)

ブラックバードさまは、母乳をあげているから、
子どもの健康は大丈夫だと信じていたのにそれを否定された気がして
お子さんの食事に対する自信が揺らいで慌ててしまわれたのですね。
お子さんを大切に思われているのが伝わってきます。

もう少し情報をいただけますか?
母子手帳の成長曲線のグラフで体重、身長、頭囲を記録したものは、
色のついた範囲に入っているかどうかをお知らせいただけますか?

小粒でも心配のない時もあります。
心配な条件があるならば改善する方法を考える必要があります。

成長の評価とは別に、、、母乳をあげていることで、
赤ちゃんの未熟な免疫の力を助け、
脳の成長に必要なものを母乳から赤ちゃんに届け、
心配なときはママがおっぱいをくれるという安心を届けてきています。

まず言えるのは、今まで母乳をあげられたことは、
赤ちゃんにかけがえのない宝物をあげられた、ということです。

その上で、「これから」を考えていきましょう。
Commented by ブラックバード at 2011-05-31 22:03 x
お世話になっております。折り返しのコメントが遅くなってしまい申し訳ありません。


もう少しで1歳1ヵ月になる娘の体重を計ってみたところ、成長曲線の色のついた範囲内でした。(平均と比べると下の方ですが)

保育園の健康診断でも何も言われませんでした。

今回の小児科で一件はショックでしたが、今日嬉しいことがありました。
娘が保育園で一人で座ってご飯を食べてくれたそうです(少し前までは全然食べてくれませんでした)


娘がご飯を食べてくれるようになり、私の悩みもこの一週間で少しずつ晴れつつあります。


母乳を続ける上で色々な悩みはありますが、今でも母乳はこのまま頑張って行きたいと思います!
Commented by Dr-bewithyou at 2011-06-01 00:46
ブラックバードさま>
ご報告を、わざわざ、ありがとうございます^^
娘ちゃんは、食べる楽しさに目覚めたみたいですね。
ようやく体の準備が出来てきたのかもしれません。

そして、もしかしたら、小児科の先生は、
忙しくて眠れていなかったり、ご飯が食べれていなかったりして、
冷静でなかったのかもしれませんね。
実際に体重を量らずに、小さい、と伝えてしまったのは。

どうか、楽しい時間を重ねていけますように。


成長曲線の色のついた帯は
Commented at 2016-03-30 10:13 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Dr-bewithyou at 2016-04-01 22:28
2016-03-30 10:13 鍵コメさま>
長い時を超えて,このブログをずっと覚えていただいてありがとうございます。

7か月の子どもがお茶を飲んだことがないということで、保育園の
保育士さんや栄養士さん、看護師さんがビックリしたと言う事なのですね。
それで、鍵コメさまの方が勘違いしていたのではないか、とご不安に感じられて、
わざわざ,ここでお尋ねくださったのですね。

私やBFHである県立中央病院、松山助産院での教室での内容を
こんなに長いこと,よく覚えていてくださって、
ありがとうございます。
赤ちゃんの健康のために母乳と食事だけを上げてきたのだろうと想像しています。

本当は、赤ちゃんの健康について保育園のスタッフに情報をアップデートして欲しいですよね。
赤ちゃんにお風呂上がりにお白湯やお茶を上げる、、、というのを
まだみんなが信じている施設がある事に驚きました。
とは言え知識のアップデート自体が難しい施設が多いようです。
忙しいとか、慣れないことに手を出すのは無責任だと感じているなどいろいろ事情があるようだからです。

軽く話す時の,参考資料として信頼があるものとしては
お茶やお水という具体的な事ではないのですが、
保育園での赤ちゃんの取り扱いについての一般的な厚労省のガイドラインは↓です。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf
(2007年アップなのですでに古い情報ですが、、、、)

JALCの復職の時の新しい情報は以下ですが、
内容は信頼出来るのですが無名なNPO法人なのでネームバリューがないのは残念です。
http://jalc-net.jp/FAQ/ans10.pdf

お子さま達の、健やかな成長と、鍵コメさまの気持ちが休まる日々を願っています。

by Dr-bewithyou | 2010-07-01 14:31 | 応援メッセージ:ママ達へ | Comments(15)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


by Dr-bewithyou
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