妊産婦死亡について

日本の歴史/日本における妊産婦死亡率
グラフがエキサイトウーマンに取り上げられていました。


1950年。
10万人の妊産婦のうち176人が死亡しています。

1960年代にそれが
10万人のうち100名を切ります。
そのあたりで一気に妊産婦死亡が減少し、
2005年では10万人あたり、5名となっています。


日本の明治時代の資料や、現代の発展途上国の統計より、
何の医療も保健指導もない場合は250名に一人の女性が、
お産に関する出来事で命を落とすことが分かっています。
(10万人あたりだと400名ということですよね)


医学が進歩しましたが,お産で命を落とすことを
ゼロにすることはまだ出来ません。

たとえば分娩時の止められない出血もあります。
胎盤が先にはがれて
みるみる母子ともに状態が悪くなることがあります。
脳出血も起こる可能性があります。


せめて早期発見は欠かしたくないという意味で、
妊婦健診は非常に役に立っています。


なので散々待って受診しても異常ないんだし,無駄じゃない?と、
思っている妊婦さんがいるのはとても残念で心配なことです。

異常が見つかってからでは,救えない命がまだまだあるのです。
だから、健診を受けていない妊婦さんが、
かかったことのない産院で、
いざとなったら分娩を引き受けて貰えばいい、と、
もし思っているならば、それはあまりに我が身と、
赤ちゃんとの命を軽々しく扱っていると言わざるを得ません。


坂道を転げ落ちるボールを追っかけて捕まえるのは、
とても大変なのはイメージできるでしょうか。

下から受け取るならトレーニングを受けた人なら、
結構、受け取れるかもしれませんが、
でこぼこ道や崖、大木の枝や枯れ木に邪魔されながら、
上から追いかけても,なかなか捕まえられませんよね。
そればかりかもしかしたらボールを追いかける人も
一緒に転落してけがをするかもしれません。


まずは転げ落ちないような場所でボールを扱うのが第一だと
言うとイメージできるでしょうか?

お城の天守閣でボール遊びをしたり、
船の上でボール遊びをしたりすれば、
ボールを失う可能性は高いですよね。

ボールと違って、母親の命も子どもの命もかけがえがない、
買い換えることが出来ないものなのです。


妊娠は病気ではありません。でも、
一生のうちこれほど、生きたり死んだりする可能性の
狭間を歩くことはそうはありません。




赤ちゃんと笑顔で出会うことのできるお産を、
全ての妊産婦さんが経験できることを、私たち産科医療に
携わる者は目指して日々の診療に当たっていますが、
お母様達の協力も欠かせない事をどうかご理解くださいませ。





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about me:
香川県高松市の産科クリニックに勤務していますm(_ _)m
ハグブログに共感する思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。

目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。
まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる
仲間を募集しています








元記事


日本の歴史/日本における妊産婦死亡率

今日は、日本の歴史について見ていきたいと思います。


時は、第二次世界大戦後まもなく。1960年代の日本に遡ります。

この頃の日本は、戦後の混乱からめざましい復興を成し遂げた、いわゆる「高度経済成長の時代」でした。

しかし、著しい復活劇がおこったは、経済の世界だけではありませんでした。

そのひとつが、「妊産婦死亡率の減少」です。


妊産婦死亡について_d0063558_19113847.gif



グラフをご覧いただけると、その顕著な減幅がお分かりいただけると思います。

途上国なみだった妊産婦死亡率が急速に低下し、
今や、10万あたり5.8人と、先進国の中でも優秀な数値を記録しています。

このことが、「戦災による焼け野原から急速に復興を成し遂げたアジアの国」として日本が国際的に注目を浴びるひとつのきっかけとなりました。

経済の発展も、もちろん日本が世界に誇る偉業です。

一方で、経済が発展すれば社会保険も自然と整う、といった単純な図式ではなく、妊産婦死亡率が急速に減少したことには、裏側で、母子保健の整備に挑んだ多くの人たちの努力があったのだろうと思います。

そのことも、もうひとつの誇りとして、ぜひ思い出したいですね。

by Dr-bewithyou | 2011-01-12 19:18 | 問題発生 | Comments(0)

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