産科医である私がかつて初めて乳腺炎を診た時


今まで、たびたび書いていますが、
乳腺炎や乳房膿瘍と言うものは、
医師が診察しない病気のうちでも罹る人の数では、
多いほうの上位に入っているのではないかと思っています。

難病ではありません。
珍しい病気でもありません。



私と乳腺炎との出会いをさらりと書いてみます。

産科医の先生が乳腺炎への苦手意識を
払う機会になってくれたならば幸いです。


私が大学での研修を初めてから一年めの新米医者として
市中病院に赴任したのは現在のBFHでした。

乳腺炎は、院長先生と助産師さんとの担当でした。
ある日、院長先生が出張の時に
乳腺炎の患者さんが受診していると、
助産師さんが診察室にガーゼを何枚か持って入ってきました。

助産師さん:先生、乳腺炎の患者さんをお願いします。

私:院長先生に、、、あ!
出張ですね(^。^;)。私、診たことがなくて、、

助産師さん:先生はしこりの位置を確認して
母乳を少し搾ってこのガーゼで色なんかを確認してくださったら
抗生物質を処方してくださいませ。
あとは、私が対応しますから。
院長先生もそうされてます(^_^)v

私:あ、、はい。


患者さんとは言え、おっぱいに触るなんて、、と
ビビりながら搾っても母乳は出るはずもなく、
助産師さんが困っている私に代わって搾ってくれました。

膿状の母乳を確認したら、
冷や汗を書きながら処方箋を書く私をあとにして
助産師さんが患者さんを連れて診察室を出ました。

それからも何回か、そんな風に助産師さんつきで
乳腺炎を診察してからは、
自分で母乳を確認できるようになりました。

(何回かは、お母さま直々に搾ってもらってます)

その後、乳房膿瘍から敗血症に進んだ重症の患者さんが
解熱するまで10日以上入院して、
他の先生方と一緒に診察しながら多くを学びました。

今思うと不思議ですが、忙しかったのもあった上に、
乳腺炎は当たり前の病気だと信じこんでいたのもあって
重症になってすら文献を探すことはしませんでした。

今はいい教科書もどんどん増えてきました。


その後は長らく、視診、触診→助産師さん。
という診察でした。

JALC主催の医師のための母乳育児支援セミナーの第1回で
初めて乳腺炎を勉強して、
(今年は10月に名古屋。乳腺炎もあります)
きちんと母乳を飲みとることが一番の病態に応じた治療になることを
学んだのです。

それからは授乳姿勢が大切だとお母さまたちに
診察室で授乳しながら工夫のポイントを学んでもらって、
乳房マッサージも行わずに対応することを
身に付けてきた、、という次第です。



助産師さんが間に入ってくれて乳腺炎に対する苦手意識を
乗り越えたと言ったところでしょうか。

今は、先に書いたように、教科書もあります。
WHOや国際母乳学会(ABM)などから出ている診療の手引きのURLは
私の過去のブログをご参照ください。

そして、なにより痛みに対して医師が耳を傾けると
お母さまたちはそれだけでも安心の材料が増えるものです。




by Dr-bewithyou | 2012-04-26 02:18 | 応援メッセージ | Trackback | Comments(0)

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