脂肪球が乳腺の細胞から、母乳に出ていく過程 

質問:乳腺炎は脂っこいもの、例えばケーキや焼き肉を食べたら起きる
答え:1.正しい 2.誤りである 3.ケーキだけが原因になる 
4.焼き肉だけが原因になる

上の質問のお答え、あなたはどれをえらんだでしょうか。



今の時代は母乳をあげるお母さん達を迷わせたり、
苦しませたりする情報に溢れています。

たとえば、、、
油、脂肪分の制限もその一つです。

信用すべき専門家がお母さま達に真面目な顔で
科学的には根拠のないことをはっきりと言います。

◇良い母乳を出すためには和食で!
◇脂っこい食事は乳腺炎になる!
◇ケーキも乳腺炎になるから控えて!


では、ママが食べた食べ物の中の脂肪は、
そのままの形で乳汁に出るのか?と言うことになります。

それを説明したわかりやすいサイトを教えていただきました。

PDF書類なので、パソコン・スマートフォン対象ですが、
http://www.torii.co.jp/health/lifescience/
鳥居薬品という、薬屋さんのサイトに掲載されている
「ライフサイエンスロマン紀行 その3
 乳腺組織の秘密 萩原清文 作・多田冨雄 監修」

というものです。



携帯で、PDF書類を見る事が出来ない方に
かいつまんで説明しますと、、、

母乳の中の脂肪は、
乳腺腺房細胞という乳汁製造工場の中で作られます。

作られた脂肪は
腺房細胞の細胞膜にくるまれた脂肪の玉として
おっぱいの中に放出されます。

ちょうどお餅をちぎるような感じに近い状態です。



脂肪球はφ(直径)0.1~15μm。
赤血球の大きさがφ7~8μmです。
動脈硬化などのない血管には中々赤血球が詰まることはありません。

乳管は乳腺腺房細胞の近くでは細かったものが、
乳頭の近くでは広くなります。
乳管の太さはインターネットでは情報がないので、
乳管内視鏡で検索してみると太さが0.4~1.25mm。
つまり400~1250μmのものが入る太さでした。

μmはピンと来ないですね。
直径1cmのボールが1000cm、つまり幅10mの川を
詰まらせるか?と言うことになるかと思います。
(計算違いがあるかもしれないので、
 ご指摘くださいね(^◇^;))

しかも脂肪球同士はくっついて
ゲームのぷよぷよみたいに一個になる事はないです。

と言うことで、乳管を脂肪球が詰まらせるのは
至難の業だと言うことが分かります。
冒頭の質問の答えは「2」.間違いです。

乳管が詰まるのは、飲み方や飲ませ方の姿勢とか
角度が大きく影響するというわけです。

 
H25/03/14 追記 
 お友だちのブログにも同様の計算が書かれています。
 狭い乳管に大きい脂肪球が集まったらどうなるの?というのを
 脂肪球の大きさを卵ボーロ大として計算しています。
 http://mina2012.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

 私は、広い乳管に小さい脂肪球で、計算したので、
 微妙な数字の違いはありますが、 
 脂肪が乳管に詰まる状況の難しさはイメージできるかと思います。



そして、この鳥井薬品さんのサイトに書かれている
母乳の神秘の一つですが、
一体どのくらいの脂肪球をくるむ細胞膜が必要かというと↓
ヒトの場合,乳汁産生:600 ~1000 mL/日,乳脂肪:2.5~4.8%,乳脂肪比重:0.92 g/mL,乳脂肪球径:0.1~ 15μmとして計算してみたところ,数m2~数百m2という実に信じられない結果となった.

なのだそうです。

100平方メートルで30坪です。

細胞膜というのはリン脂質が二層に浮かんだ膜ですから
材料はいくらでもあるのでなくなることはないです。




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about me:
平成24年4月からは、小豆島で、分娩に関わっていきます。
ハグブログに共感する思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。

目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。
まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる
仲間を募集しています






Commented by 堀田 at 2013-03-02 16:13 x
参考になります。もっとよく勉強しないといけませんね。
私の場合を考えてみると、急に分泌量が増えて来たのに開通してる腺は細いままで、うっ滞してたのは間違いないです。
マッサージして貰って、かすかすがいっぱい出てきました。
Commented by うりぼう at 2013-03-23 21:33 x
はじめまして。
今1歳4か月になる男の子を育てています。産後なかなか母乳を飲んでくれず、ずっと桶谷式のマッサージに通っていました。2月末で断乳し、食事制限解除の日も近づきつつある今日この頃です。
助産師さんの教えで色々助けられたのですが、科学的な根拠が??なことも多く、母乳についての科学的な本などないかと検索していてこちらにたどり着きました。非常に興味深い内容で、こういったことを研究されている方がいらっしゃること、とても心強く思いました。第2子も欲しいなあと思っているので、引き続き勉強していきたいです。
Commented by Dr-bewithyou at 2013-03-26 12:48
堀田さま>
母乳が作られて,スムーズに乳房の外に出るという出来事に
科学の目が当てられてきたのが、この10年にも満たない
新しい知見になっています。

そういう視点がなかったときに、周りの観察をして生まれたのが、
食事の内容だったと思います。

頭でっかちになってしまった現代医学に伴走してもらう育児事情ですが、
データが揃ううちに、赤ちゃんの野生、と言うか、能力の
大切さにスポットライトが合わされてきているように感じられます。

6月末に北九州でJALCの学習会をします。
013年6月29日(土)-30日(日)に、北九州国際会議場にて。。。
よろしかったらスタッフの皆さんとお越し下さいませ。
(詳細は後日アップします)
Commented by Dr-bewithyou at 2013-04-10 15:52
うりぼうさま>
コメントをありがとうございます。
母乳ではいろいろな思いをなさったこともだんだんと
思い出になってきているのですね。
頑張って我が子のためになるように気をつけた日々だったのですね。

赤ちゃんにとっての食事であるはずの母乳ですが、
当たり前すぎたのか、最近まで
特に日本では研究の対象として見つめる人も少なかったものの1つです。

ようやく研究の目が届き始めていますので、
少しずつ解明されてくる様々なことを、
これからも、コツコツとお伝えしていきたいと思っています。
by Dr-bewithyou | 2012-08-28 13:27 | 情報メモ | Comments(4)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児(おっぱいライフ)の応援をしている産科医 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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