産後すぐに、授乳の痛みを避けるために役立つこと 

授乳をしていて乳首の皮が剥けたり、亀裂が出来たりすると、
とても痛いものです。ましてや潰瘍になっているのを見たら
どうしてこんなに痛くなるまでこの母親は頑張れたのだろうと、
診察時に驚くことも珍しくありません。

我が子に関することでなければあり得ない
愛情と根性とではないでしょうか。

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善通寺、弘法大師さんの産湯を使った井戸と涅槃桜




↓は某所に書いたコメントに少し手を加えて
 読みやすく整えてアップしています。


乳首の授乳前後の強い痛みや傷の理由には、
乳首付近の手術歴によるもの、赤ちゃんの口腔内の形、
真菌やウイルス感染など見て分かるものも、あります。


ただ大多数の痛みや傷は、授乳という行動の評価をすることで
解消する事が出来る、、、なんて言って信じられるでしょうか。

授乳の痛み対策の多くが
授乳の姿勢や,赤ちゃんが乳首をくわえる方法を変えることから
生まれるのです。


扁平乳頭や陥没乳頭でも、
痛みのない授乳方法の発見は大抵の場合で可能です。
ただ、支援スタッフが先に
「これ、授乳はムリよ」「難しいわね」と、
何気なくつぶやいたことがきっかけになって
お母さんが諦めてしまうことも少なくないこともまだ
広く知られてはいないのは残念なことですが。。。



さて、一般的な痛みや傷の場合です。
http://smilehug.exblog.jp/17504218/の記事で
ご紹介した今年の1月号の助産雑誌の
私が書いた記事も参考になさってください。

痛みの原因の多くは物理的な問題から生まれています。
たとえば乳首の圧迫、擦過、強い陰圧が考えられますし、
陰圧状態の急激な解放も傷の原因になることが少なくありません。

また、一部は
赤ちゃんと母親の身体の構造(解剖学的な問題)や
生理学的な問題によります。


物理的な問題も解剖学・生理学的な問題も、
授乳姿勢の工夫で解消する事が出来る症例が殆どです。

とはいえ、理由が分かり、適切な飲み方を目指したとしても
問題はすぐには解決できません。
それは母と子との両方の練習が必要な場合が多いからです。
二人三脚やペアで踊るダンスのように。。。


私も,昔は乳首を鍛えるようにお母さんに情報提供していました。
ノーブラとか日光浴とかで、鍛えましょう!と。。。(^◇^;)
最近もキッチキチのボディコン(古い?(~_~;))なブラジャーは
お勧めしませんが、
あらかじめこすっておくとか日光浴とかはもう伝えなくなりました。
鍛えることに対する効果に期待しなくなったからです。


WHOの研究に「不要」と書いてありますが、
そもそも、手入れをするような文化もない地区も沢山あり
そのデータは良く理解することが出来ていませんでした。

むしろ、見る方まで痛みを感じるくらいの裂傷のできた母親が
適切な飲み方を見つけることで
次の日か、次の次の日までにつるりと治ったのに
びっくりすることがしょっちゅうだったからなのです。

もっとも、亀裂や血疱はすぐに治りますが、
白斑(乳管口の周りの炎症や浮腫が病態でしょうか)や潰瘍は
さすがにそれほどすぐには治りません。


抱き方?くわえ方?そんなの簡単でしょう?
ちゃんとやっても傷は出来るときには出来るわよ!と
思っている方も少なくありません。

ただ、病院や助産院を転々としてたどり着く、
深刻な痛みや乳腺炎をもつ母親の多くが
「飲み方には問題がないと言われました」とおっしゃるのに
ご本人さんは授乳姿勢のうちの何が問題の原因になり、
何が問題解決の原因になったかを理解していないことは度々でした。

助産師さんとなら上手く飲めました!というのも
良く耳にすることでした。


私もあまり理解出来ないままに
痛くないようにするのにどうするか、と手探りで
効果的に飲めて痛みの少ない授乳姿勢に対する
情報の届け方を工夫した時期があります。
当時のお母さんたち、赤ちゃんたちが先生でした。

上手くいかないときには鎮痛剤(NSAIDなど)を併用しました。
また、今では有効性は示されておらず、
授乳後の母乳を塗っても同様の効果と言われている
ステロイド入りの軟膏も併用しました。

そんな時に出会った
「An Introduction to Biological Nurturing」Colson の紹介
で紹介しているIBCLC・助産師であるコルソンの
本・DVDは目から鱗の連続でした。


授乳が痛くてもお母さんというものは
どうしても頑張りますよね。

頑張る赤ちゃんを守りたい気持ちは真実なのですけど、
痛みは我慢しない方が良いです。
痛くないように工夫して構いません。
それはサボりではありません。


サボりではない、痛くない方が良い!!と
私たちスタッフが伝えることは、
頑張りすぎるお母さんに効果的です。

それに加えて,
ご主人さんも同様に授乳に奮闘するおやこを
温かく見守れるだけの知識と母子への信頼を持ってくれていたら
さらに大きな力になっていきます。

以前は、父親の役割のひとつとして、
両親学級でお父さんにも
「お産までに飲みやすい乳首にしておいてね(^_-)-☆」
と協力をお願いしていたこともありますが、
お父さんご自身が赤ちゃんだったころにできていた
効果的に母乳が出る口の動かし方は
すっかり忘れているし、そういうことがなくても
上手くいく事が多いために最近は伝えていません。



今は乳首を鍛えると言うよりも
飲みやすい柔らかさと,乳汁分泌の開始のための手入れを
お母さんにお勧めしています。
http://smilehug.exblog.jp/11956904/
(乳首をつまんで手の指の一関節分をつまめる柔らかならば、
 陣痛が起きた時点からや、産後すぐからの開始で間に合います。
 乳首をつまめない人では産前からのお手入れで柔らかくしておくと、
 産後の努力が少なくてすむこともあるようです)

その上で、楽な授乳姿勢と、くわえ方を、
見つけていけられれば、産後の授乳の痛い時期を
少しでも短く出来ることでしょう。



授乳は痛くて辛くあるべきものではありません。
痛くないように授乳出来る事で、
より沢山の母乳が赤ちゃんの口に入ります。
より、赤ちゃんとの生活が楽しくなります。

痛みのない授乳の情報がもっと広く普及することを願ってやみません。



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about me:
平成24年4月からは、小豆島で、分娩に関わっていきます。
ハグブログに共感する思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。

目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。
まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる
仲間を募集しています






Commented by さらさ at 2013-03-26 22:21 x
はじめまして
今月初めにこちらのブログを拝見させていただき、目からうろこの情報が多く、参考にさせていただいている保健師です。
IBCLCについての記事も興味深く拝見させてもらっています。
質問なのですが、今回の記事の中に張られている、リンクで乳首の手入れ法がありますが、これは乳首をきゅっとつまむような感じだととらええればいいのでしょうか?それとも肋骨に向かって抑えるような感じでしょうか?ご教授いただければと思います。
Commented by Dr-bewithyou at 2013-04-10 16:03
さらささま>
コメントと、ブログご訪問と、ありがとうございます。

ご指摘いただいたのは大切な部分でしたので、
慌てて、図に手を入れてみました。

乳首の手入れではつまむだけでも良いのですが、
おっしゃるように肋骨に向かって押さえる感じにして、
乳首の下の方から硬い部分を柔らかく出来ると
より役に立つようです。
(WHOでは産前の手入れの値打ちを評価していませんが、
 これから育児をする動機づけにはなっているようには感じています。
 ちゃんと、統計を取って観ても良い部分かもしれませんね。)

これからもよろしくお願いいたします。
お忙しいと思いますが保健師さんが母乳育児に興味を持って
下さるのはとても有りがたいと思っています。

問題解決まで保健師さんに、、というのではなくて、
地域でお母さまたちの声に耳を傾け、
この問題は助産師さんまたは小児科医に、と、
振り分けていただくだけでも、
お母さまたちは随分と育児の苦労が減るかと思っているからなのです。
(*^o^*)
Commented by 川島 at 2014-07-03 14:23 x
初めまして、川島(ik-web@outlook.com)と申します。クライアント様のウェブプロモーションのため、貴媒体【サイト/ブログ名】から有料で広告リンク掲載をお願いしたくご連絡差し上げました。是非ご意向をお知らせ頂きたく存じます。

by Dr-bewithyou | 2013-03-26 16:51 | 応援メッセージ | Comments(3)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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