昨日は、NPO法人JALCの、西日本エリア(関西+中四国)の合同エリア会(学習会+懇親会)でした。
補足の適応 大矢公江(小児科医師、IBCLC)
母乳育児の継続的支援 西垣敏江(IBCLC LLB)
というテーマでのお勉強会です。西垣さんが、私が以前に作った質問票で、母親支援グループを運営している人たちへ学習会をしたとき上記の私が洒落で作った質問票を利用してくださってその回答の集計結果を教えてくださったのですが、9:乳腺炎の予防のためには脂肪の少ない和食を勧める
の回答が全員「○」だった、、、とのこと(´д`)。。。
答えは「×」です。
西垣さんから大矢さんに
「乳腺炎予防のために、肉やケーキを我慢しているのです」と
相談を受けたらどう答えますか?と質問が振られました。
小児科医大矢さんのお答え:
乳腺炎を予防することに関心を持っていることをまず褒めて、
何がお困りなのかを「どんなことにお困りですか」と尋ねます。
それから、ヨーロッパやアメリカの人がより乳腺炎に
なりやすいわけではないことを説明すると大抵の人が
納得してくれます。
次に、産婦人科医である私にも振られました。
戸田の回答:
何をどの位食べたいかおたずねします。
その上で、乳汁に脂肪が移行する仕組みや、
乳腺炎の病気の説明をしますが、
詳しくは私の書いた解説(ブログ)を紹介します。
その記事をアップしたときのアクセス数の記録は
いまだに抜かれていません。
食べ物の恨みは深いので、不要の食事制限は
避けた方が賢明かと思います(^◇^;)
と、答えたのですが、後で思い返すともう一つありました。
ケーキやコテコテのお肉が食べたいくらいに
疲れていませんか?
と尋ねるのだということを伝えわすれていました。
疲労もまた乳腺炎の引き金を引くので、
ケーキやステーキの話題から
家族間での家事の分担や、ヘルパーさんなどの援助を受けること
の必要性にお話を持っていくこともあります。
以下、もう少し詳しい解説です。
食事の影響として、
1500kcalを下回る極端なカロリー不足は
母乳生産量に影響しますが、
脂肪を食べたからと言って乳腺炎にはなりません。
母乳育児の間の母親の食事は、
普通にバランスを取ったもので充分なのです。
体がカロリーを要求している空腹感に逆らってまで、
脂肪を控える必要を支える根拠になる研究も論文もありません。
(看護・助産のテキストには残念ながら
脂肪を控える事がきっちり書いている物は少なくないのですが
そのような文献は、どんどん減りつつあります)
実は↓の写真のテキストのどれにも乳腺炎予防のために
食事制限をすることについては触れられていませんでした。
どのテキストも多くの参考文献を根拠として
母乳育児支援を長く研究なさっている著者により書かれているのです。
その人たち全てが、
乳腺炎予防のための食事制限について触れていないのです。
つまり、それはどういうことかというと
日本では多くの(ほとんどの?)人が当たり前に信じている
脂肪を取り過ぎると乳腺炎になるという事を
裏付けしてくれるデータが存在していないと言うことなのです。
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さて、ここ、ハグブログでの解説の記事をピックアップします。
まだ読んだことのない方、是非、お読みになってください。
◇母乳育児と厳しい食事制限との関係について
この記事は、母乳育児と厳しい食事制限について書いた記事で、
うちのブログ史上稀に観る高アクセスを戴いたものです。
◇乳汁中の脂肪球の話し
乳汁中に脂肪がどのように出ていくかの仕組みについて。
◇母子医療保健に関わるスタッフに向けての参考資料
◇酪農業での乳腺炎についての研究について
読みかけの論文の感想ですが、余りに普通の
炎症疾患としての取り扱いです。それを読みながら
食事制限などの日本で普及している乳腺炎対策が
浦島太郎のようなずれた話しに感じられたことを書いています。
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about me: 平成24年4月からは、小豆島の産婦人科医療に関わっていきます。
目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。 まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる 仲間を募集しています