産後すぐに直接授乳出来ないときの搾乳の方法について

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搾った母乳をあげる。
簡単に聞こえて、簡単でない時が時々あります。

以前にも搾乳、つまり母乳の搾り方の記事を何度か書いています。
http://smilehug.exblog.jp/18883394/

「タグ」では「双子」の項目をご参照ください。
(タグの数が制限されているのもあって
 双子、の中に搾乳の記事が集まってしまったのです)


普段より注意が必要になるのは直接授乳の難しいケースになります。

◇赤ちゃんが他の小児科のある病院に搬送されたとき
◇生まれてすぐの赤ちゃんに手術などが必要
◇病気や状態の観察のために保育器から出られないとき
◇赤ちゃんが母乳を自分で飲むのが難しいとき
 (陥没乳頭の一部の症例や、赤ちゃんの口唇口蓋裂などによる)

このようなときは一部の方で、
乳房緊満が極めて強くなったり、乳房膿瘍ができたり、
というトラブルに直面することがあります。

そういう時にどうするか、、、というのも、
文献では目にすることはないので、
私の経験談でお話させて下さい。


もし良い文献があれば、教えてくださいませ。勉強します。


出産した時から、普通に授乳出来るならば、たいていは
トラブルがあっても授乳しているうちに解決していきます。

つまり、
支援する人間までが途方に暮れるほどになるのは
普通に母子同室で、赤ちゃんが欲しがるタイミングで
授乳していけるときにはまずないはずです。

上記の様な直接授乳がほとんど不可能な状態の時の
注意だと考えていいのかもしれません。



目指すのは、乳汁生成1期、乳汁生成2期を
いかにトラブルを起こさずに通り過ぎるか?
ということと表現することも出来ます。

  • 乳汁生成1期:妊娠中期・後期~産後2日
  抗酸化物質、免疫成分を作り始める時期です。
  プロラクチンは分娩直後の値が最高値をとります。
  プロラクチンは授乳後45分で倍に上昇します。
  1日10回前後の授乳や搾乳でプロラクチンが
  急速に減っていくのを妨げることが出来ます。

  • 乳汁生成2期:産後3-8日
  乳汁来潮から乳汁分泌が確立するまでの時期です。 
  この時期に乳汁の乳糖と乳脂肪とが増加し始めます。
  搾乳後に、すっきり感が出ないときは、搾る操作で、
  産生を増やすのに、外に排乳出来ないことがあります。
  その時に搾りすぎると、トラブルの引き金を引きかねません。

  • 乳汁生成3期:分娩後9日以上経ってから
  乳汁生成が維持される時期
  この時期になると、母乳を出した量に応じて、
  つくる量が増えてきます。
  

NICUなどでは、
電動の高機能の搾乳器を備えた施設も増えています。
両側の搾乳を同時に行うと、分泌量が増えることの
報告も順次出てきています。



以下に、
この数日間をトラブルを避けて過ごすための
コツなどを、ものすごくはしょって書きます。

出産
プロラクチンを急速に減少させない時期 
 ↑リンクあり)
 何故いわゆるか、、、と言うと、
 乳管は最初から開いているものだから、、です。
 そこを通る母乳が産生されていない場合にも
 乳管は既に開いています。
 
 全く出なくても、プロラクチンが出続ける様に、そして、
 乳首を柔らかくさえしておけば、たいていはOKです。

 1日に8-10回は搾ります。夜は4時間は空けても大丈夫です。
 多くの母親では夜間に目が覚めることが多いですが、
 目が覚める度に、やさしく乳首の手入れをしておくことも
 乳房鬱積の状態を出来るだけ避けるのにも効果を持つようです。

 生まれてすぐの24時間がゴールデンタイムでも有ります。

待つ時期 または 焦らない様にフォローする時期
 この時期が、案外大切なのかもしれません。
 この時期はとにかく搾りすぎない様に気をつけます。
 赤ちゃんに直接授乳出来る母親も、
 この頃は乳房鬱積が出現しやすい時期だからです。

 たいてい直接授乳出来ないお母さまたちは、
 我が子のために必死になっています。

 必死になりすぎて、
 ほとんど出ない母乳を搾るのがつらい、、、
 という方には傾聴を行います。
 ゆっくりでも、優しく手入れして、搾っていれば、
 少しずつでもほとんどのお母さまで母乳が出始めます。

 むしろ、必死になりすぎて一滴の母乳を認めたら、
 少しでも沢山赤ちゃんにあげたい願いから
 ついつい搾りまくってしまう母親、、、この方が、
 乳房緊満をひどくしたり、乳房膿瘍のリスクを抱えています。

 私も、退院後に4時間搾り続けたというお母さまが、
 その後、乳房膿瘍に長く悩むことになる症例に
 苦慮したことがあります。

 少量の母乳を度々出すこと。
 搾ってもすっきり感が出ないときは短時間で切り上げること。

 を、焦っているお母さまにどのように
 情報提供できるかも、大切なケアの一環となります。

乳房緊満が落ち着いて、乳汁分泌が始まった時期
 ここからどんどん搾りましょう。
 乳房鬱積(緊満)の時期を過ぎると、
 そこからは どんどん搾って大丈夫です。
 搾れば搾るほど、FILの働きで出る量が増えます。

 丁寧に優しく搾ることで母乳が出やすくなり、
 乳首が柔らかくなっていれば、
 ほ乳瓶に慣れた子も、保育器を出たときに
 より飲みやすい状態になるからです。

 


極論の結論

待つ時期、または焦らない様にフォローする時期
母親も、スタッフも気をつけて通り抜けましょう。

、、、、が、私からお伝えしたいことです。


我が子のために必死になっている母親が
焦らない様に見守ること。
母親が安心して、この先に母乳は出る様になるのだと、
待つ自信を持てる情報を伝えること。

と言う意味でもあります。


焦って頑張って、
早く沢山出る様になる人も確かにいらっしゃいます。

一方で少ない人ではありますが、
搾りすぎて、乳首を傷つけたり、
乳腺房細胞に圧力をかけすぎて乳腺炎になってしまい、
母乳の量は増えるどころか減ってしまうのを
認めることもあるのがこの時期なのです。



もし、緊満が強い時はの対策としては
◇鎮痛剤も併用できます。
(カロナールだけでなく、ボルタレンやロキソニンも
 赤ちゃんに影響するほど母乳には出ません)
◇葛根湯で楽になる人もいます。
◇暖めるか、冷やすかは、ご本人さんに不快のない方を選びます。
◇母親の搾り方に力が入りすぎていないか、観察と評価が
 効果を持つこともあります。
◇膿瘍を疑った場合は、適切な抗生剤と、
 ひどくならないうちの穿刺吸引または切開も必要になります。


予防が大切だと思われますが、
母親の、我が子のための必死な思いが、
色々な問題に繋がる事があるので、この場合も、
他の乳房トラブルと同様に、
話しに耳を傾けることは必須であることは言うまでも有りません。


(本日の乳汁分泌の1~3期は「よくわかる母乳育児」改訂2版を
 参照しました)



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by Dr-bewithyou | 2013-12-23 16:58 | 問題発生 | Comments(0)

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