以前に書いた
という記事がありますが、
そこでは、授乳している時に痛い状態を中心に書きました。
それとは別の痛みを経験なさる人もいらっしゃいます。
急に母乳が出始めた時期に
「胸に石が入っているみたい」とか
「座っても、寝ても痛くていても立ってもいられない」とか
と、痛みを表現する人もいます。
これは、さらに実際に発熱に至る人も少なくない
「乳房の病的緊満」(いわゆる「乳房鬱積」)の状態です。
(乳房鬱積の言葉に2017/4/17訂正)
♥対応は
・冷やすか暖めるかは気持ちいい方を選ぶ。
(血流が悪くなっていることが多いので案外
暖めるのが有効なのです)
・赤ちゃんが満期産で産まれて、体重もある程度あるなら、
欲しがるたびに欲しがるだけ上げるのが効果的です。
これが基本の基本です。
・夜間、赤ちゃんを預ける産院でも、夜に授乳できるように
させて貰う方が早く楽になります。
・特に母子別室だと、糖水やミルクを赤ちゃんが
飲む事が多いと思いますが、それらを
上げすぎないよう気をつけて授乳回数をふやします。
参照して赤ちゃんの飲み方を工夫します。
http://smilehug.exblog.jp/18423997
・こういう症状になる人は母乳が沢山作られていて、
すぐに満腹してしまうお子さんが
授乳に協力的でなくて寝がちかもしれません。
足りているので当然ですが、起こして飲ませるときは
「ゴメンね」と一言、お断りしましょう。
・飲み終わった後で、スッキリするまで搾ると、
余計に作られて、余計に痛い経験をしかねません。
母乳が作られる仕組みをイラスト化したものが
ここで示されているFILを上手に使って、
母乳を作りすぎないようにする仕組みがあります。
(FIL:在庫のタグとして例える事が出来ます)
・もちろん、いつものLAYLAちゃんが役立ちます♪
http://smilehug.exblog.jp/11986715
・reverse pressure softening法 という方法は
乳輪の付近を指で圧迫してその辺りの乳汁を少しだけ
奥に戻してやる方法です。
昨年の助産雑誌に説明しています。
母乳が作られ始める仕組みを知っていると対応しやすい人には
母乳分泌の仕組みを書いた記事(搾乳の情報とともに書いています)
をご覧になってみてください。
その産後すぐの痛みのケアが上手く行かないと
乳房の病的緊満(乳房鬱滞:2017/04/17改正)の状態が重症化して
乳腺炎に変わって行く事もあります。
乳腺炎とはどんな疾患か?の一般的な記事→
その乳腺炎の仕組みについて喩え話で
説明しています→
痛みが強いときの消炎鎮痛剤(母乳に出にくく、
消炎効果の期待出来るものとしてボルタレンやロキソニンを
私は利用しています)や、
葛根湯などの薬剤も補助的には役に立つことがあります。
(ただし、薬剤使用は医療スタッフの助言に従いましょう)
この痛みを越えると、順調なおっぱいライフが
始まる人がほとんどです。
こういう強い痛みが出てしまう前に母子同室で制限のない授乳を
することが、根本的な対応になります。
ただ度々授乳しても、この状態になる事はありますから、
授乳に慣れるまでの時期に、
「おっぱいがカチカチになって痛くて辛い!」
という事が起きるかもしれない、と知っておくのも安心です。
度々、自由に授乳出来ると乗り越えるのも早く、
重症になって乳房膿瘍などになることは
きわめて稀になります。
母子同室を始めた施設では「最近、ひどい乳房緊満に
出会わなくなったね」という会話がよく聞かれます。
(経験談ですが、乳房鬱滞について書いたテキストには
普通に記されている事実でもあります)
英語文献が苦にならない支援スタッフの方には
世界母乳学会(ABM)のプロトコールがあります。
2018/11/14確認↓乳房緊満
2018/11/14確認↓しつこい痛み
痛みや、苦痛の少ないおっぱいライフの
お役に立てましたら幸いです。
↑ビールではないのです。梅シロップのゼリーなのです。
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about me: 平成24年4月からは、小豆島の産婦人科医療に関わっていきます。
目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。 まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる 仲間を募集しています