情報を伝える液体〜安堂ロイドにヒントを得て
2015年 10月 10日
明日は京都の医師向けの母乳育児支援セミナーに参加します。
情報の得方の講義も受けもっています。
京都でお会いできるのを楽しみにしています。
さて、タイトルの「情報」は体を動かすマイクロ、ナノ以下の世界でもあります。
放映後、もう二年近くなりましたが、安堂ロイドは今も私の大好きなドラマの一つです。100年先の科学技術力で生まれた戦闘型アンドロイドのロイドは見た目もまるで人間ですが機体に損傷がつくと、出血もします。
生身の人間に紛れ込むなら、外傷を受けたら出血する方が自然です。そのためだけに血液を流すことを目的とした機能を添えるのは無駄な気がしていたので、植田博樹プロデューサーに尋ねたところ、目から鱗な目的を伺いました。
「 ボディーを形成する全ての細胞型ナノマシーンに確実にコマンドを送るには、ケーブルではなく、液状の伝達システムが一番合理的で確実ではないか、とアイデアを頂いたので。液状だとボディーにダメージがあっても断線の心配がない。ということもありました。」
一つ一つが細胞位のサイズで、細胞的な役割を果たす型の機械の集合体がロイドなのだそうです。壊れたなら自律的に修復する仕組みももつわけです。
機械の制御はケーブルで、一つ一つの「動き」に対するコントロールを可能にするロボットはよく見かけますが、一つ一つの細胞的な単位からコントロールするには液体の方が好都合だと言うのは、至って合理的だと思いました。
海水の中で集まった有機体が細胞を持った生き物に進化して細胞分裂を起こしたから液体である血液が体内に存在するのではなくて、液体の溶かす力、広がる力、分断しても能力を維持できる形を利用するために血液を採用したと聞いて私はワクワクしました。
液体というとこのブログがいつも扱う母乳もまた液体です。母乳は白い血液とも呼ばれています。人間の赤ちゃんが胎内では母親の血液から栄養や免疫の力を受け取る中にも情報はやりとりされています。生まれてからは触ったり目を合わせたり、語りかけたりして届ける情報もありますが、引き続き母乳という液体を通してやりとりされる情報もあります。免疫の役割をする物質や細胞、ホルモン、細菌などの微生物、赤ちゃんがコミュニケーションを取る能力を育てるために赤ちゃんの脳や神経の育成も同時に行います。
母から赤ちゃんに情報などを届ける手段がケーブルでないから、運悪く母親とはぐれた子も別の養育者が育てることもできるわけです。
思わず、生命の生きる力、動く力を考えるきっかけになりました。
こんな風に、体の仕組みや命を考えるきっかけになるから、ファンで居続ける安堂ロイドでもあります。