映画「無限の住人」

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最近はすっかり、おっぱいライフについての記事が減っていますが、
の準備に集中していて、なかなか他の分野の勉強を進める時間が及ばないため、もうしばらく新しい記事はお待ち下さいませ。



この連休に、私は映画を見ました。無限の中に棲むものの映画です。

GLAYさんは、このブログのタイトルをいただいたHOWEVERを初めとして「永遠」という言葉が歌詞にある曲はとても多いです。永遠は時の拡がりを感じますが,無限というと時だけでなくて空間にも空っぽな拡がりを感じるのは私だけでしょうか。


2時間半の映画で、血みどろの映画なので、おっぱいライフ真っ最中の皆さまが今、見ることはないかと思いますが、色々思ったり感じたりしたので少し書いておきます。



沙村広明さんという漫画家さんが原作の作品です。

私は30巻もある原作は映画の前にも後にも読んでいないです。読みたいけど長いから,今の仕事があがってから、、、と思ってます。ごめんなさいm(_ _)m。



漫画というメディアの今は知りませんが、20年くらい前に聞いたところでは人気投票で票が伸びないとシビアに連載の打ち切りが決められるところなのだと聞いていました。そこで30巻続いているというのはそれだけのファンがついている作品なのだと思います。原作漫画のファンの皆さんにはごめんなさい。私はその人気の作品を見ていないので、あくまでも映画を見て,の感想となります。

私が子どもの頃、お風呂屋さんには映画のポスターがいつも張られていて、その中に少なからず時代劇はあったし、テレビにも血の匂いのするような時代劇は少なくありませんでした。世の中が戦後の闇や混乱から抜けるに従い、画面の残虐なシーンは血よりも背景や人の心の闇で描かれるように変わってきたと言えるかもしれません。今も生き残る時代劇は殺陣も峰打ち(刃がない方で叩くこと)が増えて、斬っても血しぶきは飛ばなくなっていたので、無限の住人での殺すか殺されるかの殺気と血しぶきは昔の時代劇を見てた頃の怖さと、勝ち抜けば安堵感に引き戻されるドキドキさとを思い出すものでした。


安堂ロイドでの木村拓哉くんのアイドルとしての商売道具であろう顔を遠慮なく殴られる殴られっぷりや、充電切れで姿勢が崩れ落ちるときなどの意思を瞬間的に封印するような動きの潔さにも、彼の長年のファンの暖かさと共に心掴まれて、私のアンチキムタクをお終いにしたのは今までにも何回も書いた通りです。

宮本武蔵での彼の殺陣は勝ちに向けて集中しているのと同時に、死ぬわけにはいかない!という死や痛みを忌避する本能的な心の動きに、何度見ても「今度も勝て!」と祈りながら見ることの出来るライブで新鮮さの衰えない痛みの印象に心を掴まれました。


無限の住人での主人公万次さんは、ロイドの潔い負けっぷり(勝ちよりも負けているときの表現の熱が凄いのです)と復活する身体を持ち、武蔵のような我武者羅さと、勝つためならば敢えてふっと殺気を引っこめる心のコントロールさえ見せてくれました。斬られるとき、殴られるときに役のうえならばある程度タイミングや痛みに対して身構えておくことは可能なのに、その身構える素振りを見せずに攻撃されるから余計こちらも一緒に痛みを感じてしまうのかもしれません。


外科医の端くれの私としては血の海に足を取られるところにゾクッとしました。血液はただの色のついた液体ではなくて命の維持システムの一部なのでものすごい力と存在感を持ちます。多分、普通の生活をしている人には理解してはもらえない「感覚」の問題でもあるけど、血液は体から出てもなおも暴れる感じをよく表していました。


血の匂いが立ちこめるのに、万次さんが両親を殺された少女である凜さんの敵討ちの用心棒という設定から、暖かいものが見終わった後には残っています。片目の兄さんが命がけで少女を守る、、、あれ?そうです。私の大好きな松本零士先生原作のアニメのハーロックさんとまゆちゃんの関係を思わせるものでした。恋人や妹などを護る傷持つ主人公の作品は少女漫画にもたくさんあります。

ハーロック、ひかわきょうこさんの「彼方から」、竹宮惠子先生のは多かれ少なかれ護る物語が多いことに今さらに気づきましたが「イズァローン伝説」、「天馬の血族」、「私を月まで連れてって」、「疾風のまつりごと」とか、闘いはないし護ることに失敗する「風と木の詩」もまた護る物語でした。GLAYさんも「サヴィルロウ三番地」で「いつの日か僕に全てを癒せるような歌を作る力をくれ」と歌い、BE WITH YOU では「これからずっとあなたを守りたいと思うよ」と歌っていたものです。


風と木の詩は今ではボーイズラブの源流のような立場ですが、そこには戦争以外の雑多な暴力が描かれています。ネグレクトや性暴力も含んだ親から子への虐待、人種差別、麻薬、病気、、それらに対して次々と「誤ったことをしないために、大切な人を失ってもいいのか?」という命題を突きつけ続けてきていました。映画の無限の住人もまた、「お前にとっての正義は、お前の敵にとっても正義か?」と万次さんは凜さんに雇われる時にまず確認したことに始まり、常に正しいこと、誤ったこと、すべきこと、してはならないことを確認し続ける姿勢を貫きました。


ハーロックさんとの共通点は、とにかく強いこと。そして、護るためには自分の身の安全を後回しにして不合理な行動でも勝つために最短距離を狙うところが同じでした。と描きつつ、そのことに昨日まで気づかなかったのですが。どちらも攻撃を受けた時の痛みの表現が深いです。で、うっかり、無慈悲にも「あ、ステキかも」と思ってしまうという。


彼方から、とは護られる少女自身は戦闘力に関してはとても非力なのに、護る立場の不死身の人の心が少女の存在でより強くなるところで後味を同じくしました。不死身で、受けた傷の回復が早いけどでもやっぱり痛い。ならば護ることを放棄する選択肢があってもよさそうなのに、人には生きるための目的は衣食住同様に欠かせないのを言葉でなくて闘う姿と眼差しで描かれる中に大きな癒しが宿っていました。

血みどろの闘いの中で私の頭の中では、万次×凜のペアが、何度か、ひかわさんの彼方からのイザーク×ノリコペアの想いとオーバーラップするのが不思議でした。私限定の感想です。



画面の満身創痍の万次さんの姿は、私が苦手に思っていた昔のスーパーアイドルとしてあたかも努力は全て満たされているように見えていたキムタクとは全く異なっていました。叫ぶこと、泣くことでしか吐き出せない苦しみがそこにありました。苦しみをこちらの心にも搔きたててくる万次さんの魂に、自分の体を明け渡している役者がいました。(かつても彼はそうだったのかもしれませんが、私には、ということでご理解下さい)


木村くんのアクションは動物的だと言っている人がいましたが、無限の住人でもまた暴力に向き合おうとも生き抜くための剣を見せてくれました。不死身ですが、意識して生き抜く剣でした。ロイドと武蔵との、もっと見たいと願っていた動きを合体させたのが万次さんの動きでした。

それを鬼神の技にせず「想いを抱く人の動き」にしていたのが万次さんの妹そっくりな凜さんとの関わりでした。雨の中で二人で黙々と釣りをするシーンはこちらも深呼吸をする時間でした。また凜さんに酷い殺戮を見せないために袂で目を覆うシーンでは、彼が殺戮を是としていないのが伝わりました。言葉で伝えないところが,映画の良いところですね。永遠の人斬りの闇から護る人へ昇華させた三池崇史監督と木村くんに、深い時間をくれたことを感謝します。


そして、敵役の人たちが、「この人は仲間になってくれるかも」と一々期待させてくれる(結局,ガッカリしたとしても)良い表情をしてくれたのも,見た後の後味に嫌なものを残さなかった一つの理由かもしれません。


護るものがあると言うこと。自分が何を護るか。どう護るかを見つめる事が出来て、各々の守るものが違うために敵と味方に別れたとしても相手の立場と意志を尊重する出会いを重ねられるのは,人生の豊かさなのかもしれません。

見ているシーンに引っ張り出されるイメージや良くも悪くもを合わせた記憶、理想。そういう物を息つかせぬスピードのアクションシーンや殺陣に混ぜ込んでくる世界を作り上げる事が出来る。人間って凄いじゃないか,と思わせていただいた140分でした。



長々と失礼しました。書きながら他の原稿を考えていたのでまとまらずに長くなってしまいました。


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about me: 坂出市立病院 産婦人科勤務
      (産婦人科医・外来のみ、H27年5月より)
      母乳外来も予約制で行っています。

2017年5月28日(日)に高松社会福祉総合センターで第二回目の四国母乳育児を学ぶ会を実施します。詳しくは↓




by Dr-bewithyou | 2017-05-08 20:45 | おまけ | Comments(0)

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