パパも赤ちゃんを育てる重要人物です

パパチチという言葉を聞いた事があるでしょうか。

それは赤ちゃんを母乳で育てることを

家族が邪魔してしまう可能性のある生活の提案で、

私達、赤ちゃんとお母さんを見つめる立場の人間は

ヒヤッとしたキャンペーンでした。


え?パパの育児参加!良いじゃん!と

思いますよね。


、、、そこは確かにそうです。

でも、パパチチの記事は削除されました。

なぜ削除される必要があったか少し説明したいと思います。



まずパパチチとは?の説明です。

パパが赤ちゃんに哺乳瓶で授乳して

育児参加しましょう!というある企業の販売促進活動です。

これはあちらこちらのサイトに取り上げられました。


赤ちゃんの栄養や発達、母親の健康について

注目している人以外にとっては

星の数ほどある営業活動のひとつに

過ぎないかもしれません。



でも、母親と子どもの健康についての

支援や医療に関わってきた人は

「なんてことを?!」

「なりふり構わない売らんかな作戦がきた」

「これでまた、お母さんが困るネタが増えた」

「赤ちゃんがせっかくのんでいる母乳が、

これきっかけにトラブったらどうフォローしよう」

と青ざめたり不安になったりしましたが、

今は掲載終了となりました。


赤ちゃんの栄養はたちまち赤ちゃんの健康に関わるため

「母乳代用品流通のための国際規準」で

細かく規制が作られています。


テレビで赤ちゃんのミルクの宣伝を見ることがないのも

この規準(Code)に従っている結果です。

参考



また、↓のサイトは赤ちゃんの栄養に関する広告に

問題があると報告することのできるIBFANという

組織での報告例です。

https://www.ibfan-icdc.org/wp-content/uploads/2017/10/Monitoring_Pigeon_FeedingBottle_Japan.pdf


IBFANのサイトは↓



では、訳あって掲載終了したキャンペーンの

どこに問題があるのか見直してみます。



高齢者の介護とは異なるのです。

いつもお嫁さんが高齢の家族の病気や認知症の

人の食事の介助を一人でしていたけど、

夫も食事の介護をし始めた時にはない問題に、

気づくかどうかでもあります。


高齢者の食事介護では作業の担い手が代わるだけです。

母乳中心で育つ子にとってはくれる人が代わると

様々なものが変わります。



母乳だけを飲んでいる赤ちゃんの場合では

まず赤ちゃんが得る栄養の内容が変わります。


急に母乳をミルクにすると赤ちゃんによっては

下痢やアレルギーなどを起こすこともあります。

母乳から免疫、つまり

ばい菌やウイルスと戦う力を貰っているので

感染症にかかりやすくなるかもしれません。


ミルクをあげて赤ちゃんの飲む母乳の量が減った結果、

おっぱいから出る量も減る事があります。

一方で母乳は減らなくてもママが

乳腺炎になる事も有ります。

乳腺炎の痛みや発熱はとてもツラい状態で

授乳を止めたくなる母親も出て来ます。


さらに、ミルクと混じると母乳の中の

リゾチームという成分では

殺菌作用が低下することも確認されています。


搾乳を上げる場合も、授乳回数が多いママの中には

搾ること自体に余分に時間が必要になる人もいます。

パパチチのためにママの作業が増えるかもしれません。


楽々搾れるママの場合は、授乳はママにとって

全く負担のない行動で、

それをパパがする意味があるとしたら

「パパが赤ちゃんに授乳出来て嬉しい」ことに

尽きるかもしれません。


赤ちゃんの中には、哺乳瓶で飲んでしまうと

おっぱいから母乳を飲むのが突如下手になる子もいます。

そのため母親に授乳の時の痛みを経験させたり

母乳の飲む量が減る結果になることもあります。


搾乳をカップで飲ませるという形の

パパチチではなかったのは

哺乳瓶の販売促進活動だったからでしょう。


もちろん、すでに混合栄養や、

人工乳で赤ちゃんを育てている家庭では

パパが授乳する事も普通に有るかもしれませんが、

このキャンペーンの対象は母乳を飲んでいる

赤ちゃんの家族のところに、罪深さがあるのです。




海外では、乳児がいるカップルが離婚した後の

夫の子どもへの面会中に強引にミルクを飲ませたことで

裁判で訴えられる事例もおきています。




ミルクをあげます!と決めていいのは、

赤ちゃんに母乳をあげている女性です。

パートナーも、母乳の出来る仕組みや

成分のことを知って、母乳をあげている人と

話し合った上でならばミルクを選ぶことは

アリです。


医師が補足にミルクがいると判断した時でさえ、

本来はミルクを選ぶ理由の説明と同意を

得てからミルクを補足することが求めらます。


時に「完母!!」とミルクの使用に抵抗なさる

お母さんもいますが、

補足にミルクが必要な理由に納得すれば、

元々、わが子を守りたいために頑張っているので

必ず理解してくれるものです。




パパの育児参加には以下のようなものは

いかがでしょうか?

・夜昼関係なく赤ちゃんをまもるママを褒める♥️

・ママが搾乳をとるのを手伝ってカップ授乳をする。

・赤ちゃんが飲んでいる母乳は足りていても

しつこく泣くとき、泣き止むまで、

抱っこしてあげる(苦手意識のある人もいますが

場数を踏むと父親の抱っこの技も向上します)

・ママにごちそうを用意する。

・母乳の出る仕組みや、足りているかどうかについて

パパが勉強して、ママがパニックになるときに

「大丈夫だよ」と伝えて上げる。

・・・などなど。



父親が「可愛い我が子に授乳したい!」

と思ってくれるのはありがたいけれども、

自分がミルクをあげたいから上げるんだ。

父親の権利だ!と言ってしまうのは

医学的には問題なのだと少し理解して

いただけましたでしょうか。



パパ「チチ」と呼ばれて母乳の代用品になるのではなく、

パパが親として「パパに育つ」ことには大歓迎します。


抱っこの上手いパパは格好いいです。

髪振り乱す妻の素晴らしい点を褒められるなんて

人間として尊敬に値します。

もちろん一緒に赤ちゃんに振り回されるパパも

優しさが透けて見えるものです。



母乳育児に満足を感じている女性の多くが

「夫のおかげです」と語るのを聞くことは

珍しくありません。


母乳育児にとってパパはのけ者ではありません。

なぜなら育児は栄養だけが全てではないからです。


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底に練乳の入ったベトナムコーヒー。




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about me: 坂出市立病院 産婦人科勤務
      (産婦人科医・外来のみ、H27年5月より)
      母乳外来も予約制で行っています。

2017年5月28日(日)に高松社会福祉総合センターで第二回目の四国母乳育児を学ぶ会は盛況に終わりました。みなさまのご協力に感謝します。




by Dr-bewithyou | 2017-11-06 22:51 | 助っ人さん達 | Comments(0)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児(おっぱいライフ)の応援をしている産科医 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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