間違いだらけの母乳育児情報:メラミン汚染ミルクの記事

ミルクに必要以上に頼った育児をしている社会で、ミルクが汚染していたらどうなるか、というパニック状態が、お隣の国、中国で繰り広げられています。

でも、そこには商売やら、わざと作られたような美談やらが飛び交い、肝心の母乳に対する知識が驚くほど少ないことを示す記事が、「レコードチャイナ」のネットニュースにはどんどんアップされてきています。

どこがおかしいの?と、日本のお母様方の多くも思うのでしょうか。だとすると、万が一にも日本で同様の事件が起きた際には、日本でも、同じパニック状態が引き起こされることになりかねないことになります。

リンクしている記事にも、現在の母乳育児支援の常識とはかけ離れた内容が目白押しです。


例えば、この母乳を譲渡しようと、決意したお母様の、母乳過分泌状態はこれから乳腺炎の原因ともなりますし、母親の栄養不良を引き起こすかもしれません。

また、
>「内服薬や注射剤が母乳に移行する恐れがあるため、肝炎や結核
>などの患者は授乳できない」
も、母乳に出て赤ちゃんに障害をもたらすほどの薬剤は少なく、
肝炎の母親が我が子への感染を防ぐための無条件での授乳禁止というものは、
ILCA(国際認定ラクテーション・コンサルタント協会)や
アメリカ小児科学会での記載には有りません。

一方、結核の活動性のものに関しては、授乳禁忌となっています。

もちろん、どちらも、他人の赤ちゃんにあげるのは問題です。
この文章では、我が子に授乳することを対象にしたのか、
他人の赤ちゃんに授乳Sることを対象にしたのかも、分かりにくいですね。




面白おかしく人の不幸は蜜の味、と、こういう記事を読む人は少ないかと思いますが、こういう記事に基づいた育児をすることは場合によっては不幸をひき出すことも出てきかねないことになります。

おっぱいライフを目指すママやパパは、是非、この記事の誤りや怪しさを感じ取るアンテナを持った親になれるよう、ミルクの安全性に対する情報収集もですが、おっぱいの仕組みにも興味を持っておくことも、子どもの健康に役立つことでしょう。



<汚染粉ミルク>「妻の母乳を譲ります」、男性がネットに書き込み—湖北省武漢市(Record China) - Yahoo!ニュース



元記事です。
<汚染粉ミルク>「妻の母乳を譲ります」、男性がネットに書き込み—湖北省武漢市
10月4日21時2分配信 Record China

2008年10月3日、汚染粉ミルクの懸念が高まる中国で、インターネットに「妻の余った母乳をご縁のあるお子さんに譲ります」との広告が掲載され、大きな反響を呼んでいる。楚天金報が伝えた。

広告を出したのは、湖北省武漢市在住の李軍(リー・ジュン)さん(仮名)。夫婦ともに不動産会社に勤務。生活には十分余裕があり、売買目的の母乳譲渡ではないという。 【その他の写真】

先月19日、女児が産まれたばかりの李さん夫婦。李さんによれば、出産してから妻の食欲が異常に増え、栄養たっぷりのスープなど毎日だいたい5食は平らげるようになったという。結果、1時間の母乳分泌量は200ml前後に達するまでになり、日中1〜2時間ごとにお椀いっぱいの母乳を搾らねばならなくなった。しかし、乳児が飲める母乳量は頑張ったところで片胸分。

飲み切れなかった母乳はというと、妻は毎日の洗顔に、李さんはお風呂に混ぜて使うくらい。栄養満点の母乳をこのまま無駄するのはもったいない。李さん夫婦は話し合い、インターネットに広告を載せることにしたという。

「授乳費は双方で話し合って決めたい。金銭的に厳しいようであれば、無償でも構わない」と李さん。さらに「世間で騒がれている汚染粉ミルク問題に便乗してひと儲けしようと企んだのではない」ときっぱり断言。

同省の産婦人科医は、「健康な産婦の母乳は栄養豊富で、乳児に最もよい食べ物」としながらも、「内服薬や注射剤が母乳に移行する恐れがあるため、肝炎や結核などの患者は授乳できない」と注意を呼び掛けている。(翻訳・編集/SN)

by Dr-bewithyou | 2008-10-04 22:50 | 情報メモ | Comments(0)

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