マッサージ

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まだまだ、母乳はマッサージで出るという思いは
『常識』として根強く行きています。



前の病院の私が勤務し始めた時の婦長さんが
いわゆるゴッドハンド、、、神の手をお持ちの方でした。

助産師はお産が取れるだけではなく、
授乳の悩みにも手助けできないといけないという信念を
ひよっこ助産婦の時代から持って褥婦さんに接していたそうです。


最初は誰も教えてくれない中、
笑顔と、触れられると和めるぽちゃぽちゃの柔らかい手と
鋭い観察眼で、誰にも真似のできない信頼を築かれていました。





お母さんを応援する気持ちの暖かさに
退院後、産後3ヶ月くらいして
「そろそろ、自分で頑張れるはずよ」
と、婦長さんが教えてあげるまで、
病棟を訪ねてくるママもいたくらいです。
(みんな、いつの間にか立派なお母さんになっています)




マッサージにはエビデンスはない、と言われており、
私自身は母乳育児支援をマッサージの手腕を持たずに
行っています。




でも、
婦長さんが、ニコニコしながら、全ての看護業務をおわらせてから
「さあ、これからは婦長さんの趣味の時間よ」
とマッサージを始めていた、ほんわりとした空気は
忘れ難いです。

もちろん、婦長さんが育てた後輩助産師も
夜昼なく、よくマッサージをしてくれました。
世間話も悩み相談も大切な母乳を出すのに
大活躍だったにちがいありません。




乳腺炎の治療に、
マッサージが不要だと私が知ったのは
だいぶあとになってからでした。

残念ながら、たくさんのリピーターを生み出したことを
乳腺炎という病気の治療を請け負った医師としては
申し訳なく思っています。

ただ、支援者としましては、
育児に不安を持つママたちに
暖かい癒やしの時間を築いていたともとらえています。







その婦長さんが
本日、亡くなりました。

当時の婦長さんを知る人は、
もうこのブログにはご訪問されていないかと思います。

たくさんの癒やしを届けた婦長さんが
空の上でも、くつろいで、笑顔でいてくれたら、
と、ご冥福を祈りながら願っております。
Commented by m.hiromi at 2009-09-30 13:21 x
徳島のM.W、hiromiです~
まず、リンクありがとうございます~(^^)v
そして・・私も、マッサージやりますよ~
エビデンスがあまりないことも知っておりますし~
婦長さんの気持ちよくわかるなぁぁ
マッサージって、最近わかったのですが
される側だけでなく、してさしあげる側も癒されると・・
それはもしかしたら、達成感なのかも知れませんし
私だけかもしれませんが、マッサージしながら何度も眠ってしまいそうになるのです・・・
何とも言えない、お母さんとのほんわかとした空気の中で
手のひらから、母乳の優しさがしみこむのでしょうか?
Dr-be・・・さま、どう思われますか?(笑;)
・・・すみません、初コメントがこんなんで"A^^;)
Commented by 夕月 at 2009-09-30 22:27 x
先生、こんばんは。
婦長さん、素敵な方だったのですね。
ご冥福をお祈りいたします。
私もマッサージ大好きです。
『手当て』・・・これは日本特有のものなのかもしれないですね。
昔々のことですが、私自身もマッサージを受けました。
まだエビデンス・・・とかいわれていない時代です。
手の温かさにホッとした記憶があります。
今も、お母様方にそれを感じていただきたい、そして、私自身もそのことで癒されていくんですね。
最近は、マッサージで、本来お母様方がお持ちの潜在力を高められる・・・そんな風に感じます。
あの、プニプニとしたやわらかなおっぱい、大好きです。
赤ちゃんともども、私も幸せな気持ちになれます。
Commented at 2009-10-01 12:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-10-01 12:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Dr-bewithyou at 2009-10-11 08:28
m.hiromiさま>
お越しいただき、ありがとぉございます♪

>される側だけでなく、してさしあげる側も癒されると・・
>それはもしかしたら、達成感なのかも知れませんし

それがあるから、時に助産師さんが、
マッサージをするのに、過分泌状態を作ってしまったりするのかしら、
と、コメントを読んでいて、ふと思いました。

触れ合うことで分泌されるオキシトシンのなせるワザなのでしょうね。

マッサージに「無効であると言うエビデンス」があるのでなくて、
有効か無効かのエビデンスがない、と言うのが現状でしょうか。

「母乳が出ないので母乳マッサージ」という思いは
お母様方の間には今でも当たり前のようです。

「飲んだ分だけ出るのよ」と言うことはまだまだ知られていません。

飲んだ分だけ出るのに加えて、
もし、マッサージに有効性があるなら、分泌不良の対応の手段が
一つ増えるのかも知らないけれども、、、
調べるのは難しそうですね。

また、遊びにきてくださいね♪
Commented by Dr-bewithyou at 2009-10-11 08:38
夕月さま>
婦長さんへの、温かいお言葉、ありがとうございます。

あれ、「素敵」と読むとどこか違う(≧▽≦)、、
あぁ、「すごい」がアタリだなあ、と笑ってしまえるくらい、
日に日に大切な人が心の中に戻ってきているようです。

仕事が終わった分娩室で、助産師さんとママとが、
さやさやと笑いながらマッサージタイムを過ごしている。
それは私の記憶の中でも優しい時間として残っています。

今まで思われていた「母乳を出すため」と言う目的でなくて、
お産で激変した「からだやこころを癒す」ことのひとつに、
「手当て」があると言うのは、これからのケアの、
可能性の一つとしても良いのかもしれないですね。

、、、でもありますが、助産師さんのハードワークの中で、
その時間が取れる医療システムも
必要になってくるかもしれないですよね。
Commented by Dr-bewithyou at 2009-10-11 08:41
2009-10-01 12:12 鍵コメさま>
お返事が遅くなってごめんなさいね。

>なるようになる
その逞しい言葉は素敵です。

不安とストレスとを軽くするのに、
わずかでもお力になれたのでしたら幸いです。

季節の変わり目です。どうか、
気持ちもからだも暖かくしていてくださいね。
(お互いに、、、ですね(^^;)
Commented by Dr-bewithyou at 2009-10-11 08:47
2009-10-01 12:24 鍵コメさま>
婦長さんへの、優しいお言葉をありがとうございます。

この人は、我が子を確か大学に入れるのに家から出すときに、
いつも普通に切っている臍の緒なのに、
「これを切ったら、もう自分で生きていく時間が始まるのよ」と、
赤ちゃんに言った途端に、
我が子が、自分で生きていく時間が始まったことと重なって、
涙が出て止まらなくなった、、、そのような、
ことを話してくださったことがあります。

その臍の緒の代わりに生まれるおっぱいライフだからこそ、
大切にしなければと、本能的に思ってらっしゃったのかもしれません。

科学的に間違いでないことは大切だけれども、
その中で「こころ」や「人と人のつながり」なども、
欠かすことの出来ない時間なのですよね。

ママたちにはそして、それこそが、力になることを、
こうやってコメントをいただくと改めて感じました。

by Dr-bewithyou | 2009-09-24 20:35 | 応援メッセージ | Comments(8)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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