初めて乳腺炎になったとき

私がこの記事を拡散したわけでもないのに、
ここしばらくアクセスが多い記事になっています。

改めて、読み直して、本日(2018/11/27)
加筆訂正いたしました。


初めて乳腺炎にかかった時に、たいていの人は、
あまりの痛さや
お熱の高さにびっくりしてしまいます。

すでに、疲れているときにかかる事が多いため、
私たちIBCLCがお伝えする乳腺炎の治療の基本は
体を休ませて、おっぱいを働かせる!
とお伝えしています。その意味は
とにかく授乳以外の家事は誰かに肩代わりして貰って、
作られた母乳をおっぱいの外に出すために
授乳回数を増やすということをめざすという事です。


乳腺炎にかかると
母乳そのものの温度もママのお熱に応じて上がるだけでなくて、
乳汁中の乳糖↑ ナトリウム↓ 水分↓
などの変化もおこります。
味がごくわずかですが変化することもあるでしょう。

もっとも、乳腺炎のときは
しこりの部分の痛みのため、または、
もともと炎症を起こす原因になった白斑等の
乳首などにおきた痛みのため
オキシトシンの働きがおちることがあります。
その結果、母乳がやや出にくくなることが
珍しくありません。

ごくわずかの味の変化よりは、
母乳そのものの出る量の変化が
赤ちゃんの飲む気に影響した結果、
イヤイヤしているように見える事があるかもしれません。

赤ちゃんに授乳する姿勢そのものに
飲みにくさの原因があることもあります。

そういう時に、
赤ちゃんが自ら飲みやすい姿勢を探して
首や手を動かすことも珍しくありません。

このおっぱいを出す能力の低下は
ご安心下さい、「一時的な」低下なのです。



暑くて疲れているときに、「イヤイヤ」と
だだをこね続ける赤ちゃんに授乳するのにイラッとしたり、
疲れがいや増したりする方もいらっしゃるかもしれません。


体を休ませるつまり、家事を助けて貰ったり、
仕事を休んだりしてゴロゴロすることは
乳腺炎を治す効果があります。
そして、最良のお薬は
「赤ちゃんに飲んでもらう」につきるのです。


ただ、今までと同じような姿勢で頑張っても、
相変わらず母乳をのみ取りにくいことがあります。
その結果として起きる、作られた母乳が出きらないことが
乳腺炎の発熱や痛みに繋がっているため、
乳腺炎になりかけたり、なったりしたときに
飲ませる姿勢やタイミングの見直しは有効なのです。

授乳姿勢の参考にLAYLAちゃんと学ぶ授乳姿勢は
↓のブログに書いてあります。
http://smilehug.exblog.jp/11986715/
(LAYLAちゃんはトイザらスで買ってきた赤ちゃん人形で
 私の母乳育児支援の相棒です)

「前に読んだわ。そして、その時はうまくいったけど、
 今回はだめなのに。。。」と思った方。

そうおっしゃらずにもう一度、
初心にもどって確認してみてください。
前にうまくいったときよりも、
赤ちゃんが重くなったり、背が伸びたりして、
同じくらいの力を同じくらいの体の位置にかけていても、
同じように赤ちゃんが飲めていないことも
しばしば認められるのです。


抱き方のポイントを見つけてしまえばこちらのもの。
上手く行けば一回か二回の授乳でも
痛みが改善することがよくあるのですから。

まるでおっぱいそのものに文句言うように見える
お坊ちゃま、またはお姫様の場合も
「済みませんが、よろしくお願いします」と、
よくよくお願いして、度々、飲んでもらってください。

授乳回数をふやしても、飲んだあとに、
楽な授乳姿勢を見つけられるまでは
おっぱいがスッキリしないことも
実は、珍しくないです。。

そんな時も、しこりの部分を圧迫しすぎるなどにより
乳房に強い炎症を起こしていない限りは
ベストな飲み方、飲ませ方を工夫して
見つけることが出来たならば、
1回から何回かですーっとしこりが消える事が多いです。

ただし、注意は必要です。
母乳を出せば治るのですが、
搾って出すのは細心の注意が要ります。

なぜなら、無造作に搾ると、
健全な乳管からばかり母乳を出してしまい、
詰まりかけの腺ではどんどん作られても、
外に母乳が出ずに余計に痛みが出ることが
あるからです。

「専門家」という人たちの
痛いマッサージも時々、まだ聞く事がありますが、
そのような方法のときには
健康な通り道の部分では
母乳を作りすぎてしまい、
有効に出にくい腺(母乳の通り道)では
母乳が余計にたまっていくこともあります。

乳腺炎のときの、たまった母乳は、
乳腺腺房細胞の薄い袋に貯えられるので
グイグイ抑えると、その袋から、
母乳が腺房細胞袋の外から、
おっぱいの組織の中にしみ出してしまうと
もっと症状が悪くなります。


下手に搾るよりは赤ちゃんに飲んでもらう方が
大抵は、早く治ることが多いですが、
困ったことに、その、適切な飲ませ方、くわえ方、、、
ポジショニングとラッチオンとはまだまだ、普及していません。

また、お産の入院中に、適切な飲み方を学んだことがないと、
赤ちゃんが、飲み方を変えると文句を言って、
さらに、付き合いにくくなることだって珍しくないです。


体を休ませて、おっぱいを休ませるな!
そして、初めてかかった方には
少し時間がかかるけれども
 赤ちゃんと二人で必ず乗り越えられるから
 焦らないでくださいね

と、お伝えしておきます。


二度目以降は、「乳腺炎かも?」と気づくタイミングが
早ければ早いほど、早く治ります。

抗生物質だけ処方されて、授乳の姿勢の工夫方法を
教えてもらえなかった方は、
このブログでLaylaちゃんともう一度おさらいしてみて、
そしてもらった抗生物質はきちんと内服しましょう。

(WHOでは10-14日の処方を推奨しています。
 私は5日分を処方し、二日後のに熱が下がらない場合に、
 受診してもらっています。)

ロキソニンやイブなどの痛み止めは
母乳には出にくいので飲んでも大丈夫です。
楽にしのげることは、母乳が出るように
戻るのに役立ちます。ただし、それで、
乳腺炎が治るわけではないため、
適切な授乳姿勢を見つける手間暇は惜しまないことを
お勧めしたいと思います。


地震などに被災したときの避難所生活で役に立つように、
とまとめた記事が
http://smilehug.exblog.jp/13116388
ですが、もちろん、被災していなくても治療の基本は同じです。
ご参照くださいませ。

一日で治ることもありますが、
最低、4-5日はかかるつもりでいてください。

なので、乳腺炎になってしまったときは
ちょっとこの際、色々サボって、
ゴロゴロする機会だ!
と、鷹揚に構えられたならば、
より早く乳腺炎も治るようです。

お大事になさいませ。

(この文章2018/11/27推敲)
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about me:
香川県高松市の産科クリニックに勤務していますm(_ _)m
ハグブログに共感する思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。
(↑2011年、執筆当時)





by Dr-bewithyou | 2011-08-07 09:32 | 問題発生 | Comments(0)

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