赤ちゃんが生まれた日、一滴も母乳が出ないけど大丈夫?

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赤ちゃんお誕生の出会いのその嬉しい日。
一滴も母乳が出ていない。実はそういうママは珍しくはありません。
そこから、赤ちゃんに飲ませたり、搾ったりし始めれば、
母乳はジワ~っと出るようになってくるのです。


今日は、生まれたその日は全然母乳が出ない!から始まった
一人のママと赤ちゃんとの物語をママのご理解を頂いて紹介させて頂きます。



お産は、普通に進行した、と記憶しています。
よく頑張って、無事に、お坊ちゃんが誕生しました。

初乳は全く出ていませんでした。
生まれたのが午前中だったので、1日目に一度、訪室して、
赤ちゃんの飲み具合を確認に行った時には、
赤ちゃんがご機嫌斜めで、おっぱいを飲むモードではなかったのと
私が慌ただしかったのとで、
LAID BACK授乳法(リクライニング法)で抱っこする方法を
お知らせして
「こうやって抱っこしていると赤ちゃんが、
 自分でおっぱいを見つけられるから」と
お伝えして終了になりました。

パパがその授乳姿勢を参考のために写真に撮っていました。


次の日、申し送りではまだ母乳は量れるほども出ていませんでした。
訪室の時には搾乳の仕方もお知らせしようと、
ベビーカップ(カップ授乳しやすい形のコップ)を持って行きました。
が、、、、

この日も、前日のお誕生の日に増して、
「これ違うの!」と、怒っているのです。

搾乳するどころではなく怒っている。。。でも、
ママは「大丈夫よ」と優しく抱っこしています。

このママのえらかったのはそこです。
ギャンギャン怒る我が子に焦ることなく抱きしめて、
のんびりとした口調で語りかけているのです。
本当に、見事でした。

どうしたら泣き止むか、と、
私は一生懸命考えて少しずつ提案するのですが、
赤ちゃんはママの方をチラッと見ては、
「ぎゃ~」。。。(日本語訳するなら、、、違うの!)


あまりに文句をいう姿に途方に暮れた私は、
IBCLCとして得た知識も産科医として得た知識もうっちゃって、
「まず、Tくんに、ここは安心な場所だと納得して貰うように、
 仲良しになるところから始めましょうね。
 母乳が足りるようになるまではミルクを使えばいいから。
 何をあげるかよりも、こんなに怒っている子をなだめる事の方が
 ずっと大切だから」
というような、精神論的なお話をしたのでした。

退院する頃には、それでも搾れば母乳が出るように、
ママの体はぐっと変化していました。



退院後、最初の母乳外来、、、で、またしても彼は、
「ぎゃ~~!」

ママは「がんばれ、がんばれ♪」(ひらがな以外の何物でもない声)と
歌うように応援していて、私は相変わらず知識を総動員しても、
彼の気持ちをなだめられず、、、ひたすらママを尊敬するばかりでした。

なのに一週間後の母乳外来で
転機を目の当たりにしたのです。


あんなに闘っていたTくんが、熱心におっぱいを飲んでいるのです。
「○日前から飲めるようになったのです♪」と、
ママがきらきらの笑顔で報告してくれました。
体重も増え始めていました。

そこで、本気でママはTくんと仲良しになる事に、
とことん気持ちと時間とをかけたのを知りました。


それからはミルクや搾母乳が要らなくなるのはあっという間で、
地元のイベントで、おっぱいだけで
ぷくぷくに育っているTくんとママとに再会したのでした。

母乳は出るようになる、と、信じる力の織り上げた物語です。




さて、後日談。

本日の母乳外来でいらっしゃいました。
4ヶ月になっていました。

3-4ヶ月検診で、小児科の先生に、
「この時期に一日8-10回の授乳回数は多すぎ。
 手を舐めて授乳するのは、ただの反射だから、
 母乳のやり過ぎになるから止めてください。
 一日5-6回の授乳で、一回は長くて15分までです。
 そして、そろそろ野菜スープを始めて下さい」
と言われたとのことでした。

そのように一日だけしてみたけど、
Tくんは怒りまくるし、どんどんおっぱいは痛くなるし、
小児科の先生の言うことだから正しいのだろうけど「無理!」と、
元通りにしてみたとのことですが、
小児科の先生の言うことを守らないで子どもに問題が起きないか心配で、
乳房痛も出現しての来院でした。

幸いなことに、乳腺炎はうっ滞性の軽いもので、
飲み方の工夫だけで何とかなりそうでした。

古いガイドラインに沿ってそのようなお話をする小児科医や、
栄養士さんがまだ沢山いること。

そして、今までの毎日は、
赤ちゃんと築き上げたかけがえのない日々であって、
ちっとも間違いでないことをお話して安心して帰宅して
貰うことが出来ました。


考えてみて下さい。
生まれて二日間は一滴も母乳が出なかったママが
母乳がたくさん出る人のかかる乳腺炎に罹るほど、
母乳が出るようになろうとは、
お産の日には想像できない未来だったはずです。

そのママが育ててきたのは赤ちゃんの体だけでなくて、
赤ちゃんとのかけがえのない信頼感も、なのです。

いつか、おっぱいにバイバイして彼も一人で歩くようになります。
でも、それは不安と後悔の日ではなくて、
成長に伴う喜びが小さな寂しさを包む日であってほしいと
願わずにおれません。





そうは言っても小児科の先生の言葉をむげには疑えない、、、。
そんな方には以下の情報もご利用になってみて下さいね。

2007年の厚労省の「授乳・離乳の支援ガイド」についての
当ブログの記事
最近書いた、補完食についての記事(レバーペーストのレシピも)
改訂版が出たときの記事
以前の離乳の支援ガイドの内容と2007年版との違い。

↓厚労省のガイド本体
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf





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about me:
香川県高松市の産科クリニックに勤務していますm(_ _)m
ハグブログに共感する思いでお産を見守る助産師さんとの出会いも
あったらステキだなあ、と思っております。

目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。
まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる
仲間を募集しています



一番上のブログの下↓についている宣伝は
エキサイトが勝手に選んでつけているものです。私の推薦ではありません。


Commented at 2012-01-14 00:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by デコログ at 2012-01-17 17:33 x
さぁ今年も気合入れて頑張りましょうか!色々辛いこともあるだろう。思い通りにいかなくて挫けそうになる日もあるだろう。
Commented by Dr-bewithyou at 2012-01-20 00:57
2012-01-14 00:26 鍵コメさま>
お返事が遅くなってごめんなさいね。

こちらこそ、貴重なお話を採用することを許可いただき、
ありがとうございます。
おかげさまで沢山のママを応援する記事がまた一つふえました。

>ああ 夢から覚めた これからもあなたを愛してる
と、前回のツアーでは毎回ライブのラストは、
あの会場の合唱をミディアムからバラードでは嫌うTERUちゃんが
「みんなで歌いましょう」と煽ったものです。

諦めなかったら母乳で育児出来るようになったんです♪と、
後輩ママたちに、にっこり笑ってTくんと歩んだ物語を、
是非、伝えてあげてくださいね。
by Dr-bewithyou | 2012-01-11 19:34 | 応援メッセージ:ママ達へ | Comments(3)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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