災害の時に妊婦だったならばどう対応するか。 

ここ、ハグブログのトップの固定記事
災害時に赤ちゃんと暮らすときに役立つ情報を集めています。

今日、ご紹介するのは、
東京の産婦人科医の根本芳広先生が書かれた
妊産婦の災害対応マニュアルです。)PDF書類

先日アップした内容から、少し改訂が入っています。
ミルクがなくてせめて水がある時に、
赤ちゃんにどう対応するか、の部分が改訂されたのだと
情報を頂きました。
(H25/05/11 変更)

残念ながら携帯(フィーチャーフォン)の方はご覧になれませんが、
こちらから購入できるそうです。

書籍「女性たちの被災体験談~3・11を私hあ忘れない



妊娠しているときに災害に出会ったときに、
何に注意して、どのようなときに病院に受診するのか、
妊娠中のデリケートな心で、大変な出来事にどう向き合うのかを
細やかに拾い上げて行動に繋げられるように書いてあります。


災害はある日突然訪れます。
心の準備をしていても、していなくても、
避難する事や、避難所に暮らすことは
とにかく大変なものです。

例えば、台風や洪水、床上浸水、崖の崩落。
例えば、地震や津波。
例えば、竜巻。
例えば、雪崩。

・・・備えあれば憂い無しです。




根本先生の情報を理解するための補足の情報です。


妊娠中の身体は、刻々と変化します。

妊娠初期の胎盤がまだ完成していない頃には、
つわりや性器出血は、災害がなくても、
ひょっこり出てきて戸惑うことがあります。

妊娠16週くらいになると胎盤は子宮にしっかり
くっつくようになります。

そろそろ赤ちゃんの胎動が分かり始める前後から
妊娠中でもトラブルの起きにくい時期になります。
トラブルではないのですが、
そろそろお腹が目立ち始める人もいます。

着ていた服がきつくなったり、
安定期だから、とムリして動き回ると、
お腹が硬くなるなどの、小さいけれども、
今までになかったあれやこれやが出てきます。

そして、妊娠28週からは、
それまでよりも身体も重くなり、赤ちゃんも大きくなってきます。
切迫早産の人など以外では、それまでと同様の生活ができます。
とは言え、素早い動きがしにくくなる人も出てきます。

今思い出したのですが、
前の子は切迫早産でずっと入院してて、、、と、
自分の身体の大きさが予測できないみたいです、と、
病棟勤務で、通れない隙間が沢山あるし、腰や足が
思いの外、外の方に有るような気がする、、と
おっしゃっていた看護師さんもいらっしゃいました。


いつ生まれても大丈夫なのは37週以降ですが、
35-36週に、早々と産気づいてしまう母親も珍しくありません。
(臨月ではないから、生まれるはずはないという思い込みは禁物です)
(↑2行、改訂:2015/04/11)


妊娠中や授乳中は、どんなに頭の切れる人でも、
普段よりも、のんびりしていたり、ボンヤリしていることも
珍しくありません。

急な災害の時に、何を守り、何を携行するのか、の判断は、
妊娠/授乳中には的確に動くのが難しい、
少し頭の回転が素早くないことも珍しくないというわけです。
そういう面でも、平静時からの、
イメージトレーニングやシュミレーションには値打ちがありそうです。


この根本先生のマニュアルには、
病院が機能しきらないときに
産気づいた場合の対応法が書かれていました。

こういう究極の辛い思いはせずにすめば最高なのですが、
知っていると知らないとでは、赤ちゃんの健康が
全く異なってくる、とても大切な情報です。


災害で電話が使えなかったり、道路が寸断されたとき、
専門家がいない場所で産むことになった場合、
何はともあれ、
赤ちゃんを良く拭って身体を乾かして暖めることが大切です。

臍の緒は糸などで縛ってから長めに切ります。さらに
糸で縛るなどして止血します。
動物では母動物がかみ切るだけでも止血します。
長く残しておけば、後での対応も簡単ですし、
血も止まりやすい(臍帯が自ら収縮して血を止める能力を持ちます)
ので、慌てて、産院で産んだ子のように
短く切るような手間はかけない方が安全です。



根本先生の文章では、その辺りの
避難所や、自宅に取り残されたときに
陣痛がつくという事態に対応すべきことが書いてありますので
よく分かるのではないかと思います。


お産をするのに誰も側にいない!というのは
想定外の出来事ですよね。
ほとんどの人ではよくよくのことがない限り、
助産師さんや産科医のいないお産をすることはないはずですから
普段は忘れておけばいいのですが、
ただ、お産の介助のことを頭の隅にもっているかどうかで、
赤ちゃんの健康は随分と影響を受ける、、、
という分かれ目になります。


もちろん、おかあさんたちの一番の願いは、
巨大地震に出会わずにすむこと。。。ですよね。


それでも、妊娠中の女性では、
平常時にこそ、この根本先生の情報を
是非、ご確認になっておいて下さい。
知っていて決して損はありません(*^O^*)


災害の時に妊婦だったならばどう対応するか。 _d0063558_0234472.jpg

by Dr-bewithyou | 2013-05-06 23:17 | 問題発生 | Comments(0)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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