授乳中に、突然、断乳しないといけなくなったら

卒乳についての説明は「タグ>卒乳」に、色々書きましたが、
母乳を急いで止める必要はないのよ,と言う説明が主で、
授乳回数を減ってから止めたら重症な乳腺炎などなりません。
という説明がほとんどである、ここ、ハグブログです。

でも、色々な事情で突然の断乳が必要になることもあります。

例えば、
 どうしても外せない長期出張
 子供の手足口病など口の痛み
 母親の入院(切迫流早産や、ケガによる入院もあれば
       腫瘍や内分泌疾患や消化器疾患など
       様々な事情で,待ったなしの入院となるとき)
 子供の入院(授乳を続けられる病気がほとんどだろうけど)

、、、など色々な事情で、
急な断乳を必要とすることも有るかもしれません。

(復職は、必ずしも断乳が必要な状態ではないのですが、
保育園や幼稚園の理解が進まない現状では
復職を機に断乳する方も少なくないです)

いずれにしても、ずっと続くと思っていたおっぱいライフを
急に中止することに対しての戸惑いは想像するに余りあります。

そこまで、よく赤ちゃんを養ってきましたね。
本当に貴重な日々だったと思います。

今、おっぱいライフを急に止める事になって、
気持ちも少し動揺するし,体も痛みやお熱にさらされて
ご心配になっている事でしょうね。

数日のうちに痛みは解消しますから、
体の回復を待っていきましょう。
発熱も24時間以内に引くものには,心配は不要です。



この断乳するときに使うのはFILというタンパク質の働きです。
http://smilehug.exblog.jp/19470541/
の記事で説明していますが、
母乳には作られた時点からFILというタンパク質が入っています。

おっぱい工場のいわば「在庫タグ」です。

このFILが増えると乳腺房の乳腺上皮細胞という
まさに母乳を作る場所にストップをかけます。


ただ、1日に2-3回という少ない回数でなくて
2-3時間に1回は授乳している状態だと
いつも通りに母乳が作られるので恐らく、一時的には
ぱんぱんに乳房が張って,カチカチになる可能性があります。

そこは辛いですが、冷やしたり、暖めたり、
鎮痛剤を使ったりして痛みに対応して
これ以上乳汁が作られなくなるのを待っていきます。

痛いのは辛いのですが
だいたい1-2日でひと山越える人がほとんどです。




マッサージ手技の上手い人は
ここでお助けに出るワザを持っていますが
気をつけないと,そこから発熱を引き起こすこともあります。

ご自身で搾乳するのもスッキリするまで搾ると、
それと同じだけ作られるのでごく少量の搾乳か、
乳首の周りを指と肋骨で圧迫するように痛くないくらいに
優しく挟むくらいに圧迫して、
乳首の周りの母乳を少し奥の方に押し戻すくらいで
ちょっとだけマシ、な状態で通り抜ける方が、
早く痛みから解放されます。

(reverse pressure softening法といいます)

搾りすぎることは、、、乳汁が乳腺腔から周りに
漏れ出るきっかけと、
乳汁産生増量とを引き起こすきっかけになる事があるのです。

乳腺上皮細胞が並んだ乳腺房は、
ブドウの房の形をした袋にたとえることが出来ます。

その中に,乳汁が詰まってくると袋が薄くなって、
少しマッサージするつもりだったり、少し搾るつもりだったりで
ちょっと力をかけただけでも周りに乳汁が漏れ出す事があります。

そうなると母乳の中にある炎症を起こす成分により
(インターロイキン1や,母乳蛋白そのものの抗原抗体反応)

まるでインフルエンザのような
全身症状を引き起こすことになります。


卒乳または断乳のためには
綿密な手入れのスケジュールで対応している
助産師さんもいるので、
私のこの話は「そんなに放っておいて大丈夫なの?」と
不安に感じる人もいるかもしれません。


FILの作用を使う母乳量減量も、授乳回数の多い方では
出来たら乳房が母乳を作る仕組みを理解している専門家と
一緒に対応したいところです。
痛みが強いときは鎮痛剤を併用する事も問題ないです。
冷やすか,暖めるかは気持ちの良い方を選んで貰ってください。


おっぱいの張りを取るマッサージをしながらの断乳は
ある程度日数をかけて止めているようですが、
私は詳細を存じないのです。



ちなみに授乳を急に止めても、乳がんにもなりませんし、
将来に更年期障害が強くなるわけではないです。

ただ乳がんや更年期障害を
残念なことに心配なさっている人も少なくありません。
私が今まで何度も母乳育児支援のセミナーに参加してきた中では、
そのようなお話はまだ伺ったことはないので、
明らかなデータのあるお話ではないのかもしれませんね。


出さなかった母乳も水分から吸収されていきます。
おっぱいの中で,腐敗したり固まったりすることはないです。

もし、2-3日過ぎても硬いところが残るならば
乳腺炎や乳房膿瘍を疑って、
専門家に相談なさってください。

発熱は24時間以内に下がれば心配在りません。


ここまで、我が子のペースに併せて生活する
おっぱいライフを続けていらっしゃったことに
心から拍手を送ります。



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夏をおしんで,,,真夏の写真です


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平成24年4月からは、小豆島で、分娩に関わっていきます。

目標は「母乳育児支援を学ぶ会in四国第2回」。
まだまだ、道のりは遠いですが一緒に実現してくれる
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by Dr-bewithyou | 2013-09-12 17:32 | 問題発生 | Comments(0)

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