今日は終戦記念日

70年前の今日から戦後と言われる時代がはじまりました。

今の時代から振り返ってみると無謀だったとしか言えない
あの戦争のさなかも人は暮らし、
戦後の死に物狂いでこの国を立て直した時代も
人は暮らしてきました。

その時代の暮らしの断片を私に教えてくれた漫画があります。

「この世界の片隅に」こうの史代
http://smilehug.exblog.jp/22012080/
最近、うちのブログでも取り上げた戦時下の暮らし。
舞台は軍港であり、原爆に被爆した街である広島に近い呉です。
当たり前にご飯を作り続けてきた主婦は
記録を取り続けてはいないから、
どんな暮らしをしていたかを調べるのは
結構、手が掛かったようです。
この漫画を原作とした映画が制作されつつあります。


「紅にほふ」 竹宮惠子
www.ebookjapan.jp/ebj/title/25080.html
満州で戦前、戦中を過ごした芸妓一家の暮らしを、
現代から振り返る作品。
芸妓や娼婦、お妾さんという今となっては
特殊な職種の登場人物ですが、
当時の暮らしぶりも丁寧に描かれています。
満州(中国)からの帰国の様々な形態と
そこでの暮らしぶりも又描かれています。


どんな過酷な時代も、毎日、ご飯を作り続け、
洗濯をしていた人たちがいたのです。当然ですが。

娯楽も趣味も衣食住も合わせたものを
日々積み重ねていくことが
暮らしと呼ばれるものであるとしたら、
個々の暮らしを集めた所には共通する利害関係も
産まれていくことになるでしょう。

1945年の上海を舞台にした漫画
「Shang〜hai1945」森川久美(かなり入手困難かも)で
主人公がつぶやきます。

>何が悪かったんだ
>いったいどこで間違ったんだ
>豊かになりたい
>ほかの国に脅かされないくらい強い国になりたい・・・・
>そう思うことが悪かったのか・・・・

そんな風に平和な時代ならごく当たり前なことを
実現するのが難しい時代や、社会情勢のなかでも人は
生き続けていきます。暮らしていきます。



誰かに分かりやすい答えを出してもらって、
信じるまたは反対するのは簡単ですが、
そうなると、上手く行かなかったときに人のせいに
するような生き方になってしまいます。

普通に暮らしている日々の一歩分だけ未来に
どう関わり、変えたり維持したりしていくかを、
全ての人が考えては小さな選択を積み重ねることの
面倒くささから手を引かないことも
大切なのだろうと考えています。


戦後70年という切りの良い時期として
総理大臣談話が発表されました。

平成27年8月14日
内閣総理大臣談話
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20150814danwa.html

人それぞれに同じ3000文字に対して
不満や賛同や様々な意見を持ってこの談話を
受け取ったのではないでしょうか。

例えば、本日の朝日新聞の感想
(新聞はすぐにリンク切れになると思いますが)
のように、談話に不満を語る人もいます。

(tweetのまとめ)のような視点で、
過去と現在と未来を見つめた上で意見を語る人もいます。


その時に、どれか頼ることの出来る
1つの正しい答えが欲しいかもしれません。
新聞にその役目を担わせてきた時代が
随分と長く続いています。

白か黒かを決めるのが私達の役割でしょうか?
完全にどちらかだと決めるような
人の意見に賛同や反対を示すばかりではなくて、
自分はどれが一番正しいと思い、
どの意見のどこに違和感があるかを
きちんと確認する事も役立つのではないかとも私は考えています。

それは医学に向き合うときとも同様ですね。



この国には言論の自由があります。
自由というのは、
気にいらない意見をこき下ろすためにだけ
使うのは勿体ないし不毛かもしれません。

せっかく自由を使っていくならば、
未来に向けてベストがむりならせめてベターな方法を
選ぶための可能性の道として使えたら素晴らしいだろうと
私は考えています。

選んだことの結果がどうなったか?がわかる未来になっても
その結果が良くても悪くても引き受ける覚悟も必要とするものだと
いうのは、責任のありかたにもなりそうです。



ということで、最初にもどりますが、
毎日を丁寧に食べたり着たりして暮らすことには
案外と力が宿っています。

当たり前の日々を愛す想いも未来を磨く力になりえます。

意見の違いを摺り合わせるトレーニングは、
赤ちゃんとの暮らしではその機会がたくさんあります。
赤ちゃんは遊びたい。ママは寝たいというような
小さな意見の擦り合わせを日々重ねることは、
もっと利害が一致しない相手とwin-winの解決策を
作って行く小さな練習にはなってはいないでしょうか。

そして、今の幸せを享受するだけでなくて、
ほんの僅かで良いから、この暮らしを続ける事が出来るのか?
そのために何かをガマンする必要があるのか?
何か働きかけることが出来るのかも
考える事が役に立つのでは無いか、、、、とも想っています。


とりとめも無く長くなりましたが、
いつも、誰もが尊重され、安心して生きていける社会を
守っていく力を私達がもち続ける事が出来ますように。

命懸けで未来を守ってくれた、戦争で命や健康を失った人に
恥じない生き方をしていきたいと思っています。

今日は終戦記念日_d0063558_16150812.jpg


Commented at 2015-08-17 11:22 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-08-18 17:38 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Dr-bewithyou at 2015-08-18 18:32
2015-08-17 11:22と2015-08-18 17:38 鍵コメさま
ここのコメント欄でのお返事はいつも遅れがちなのです。
その遅さが鍵コメさまを馬鹿にしているように
感じさせたのでしたら、申し訳ありません。

ずっと母乳をあげているのに、赤ちゃんに
影響が有るらしいことを知らずに飲酒を続けていた事で、
赤ちゃんに対して何か影響があったらどうしようと不安になったのですね。
赤ちゃんを大切にする日々をすごされているかと思います。

ご質問の授乳と飲酒との赤ちゃんへの
影響に関してはここでは既にお読みかもしれませんが
http://smilehug.exblog.jp/21417266/
等の記事があります。

もし、ビール一杯程度ならば、
それはおいしく飲んで育児のストレスも発散できて
よかったですね(*^o^*)と言える範囲になるかと思います。

また、毎日前後不覚になるほどの飲酒の場合でしたら、
小児科や地域の保健医療スタッフにご相談をお勧めします。
赤ちゃんの発達の相談と共に、アルコール依存症として
鍵コメさまの健康も心配だからです。

おそらくはその両極端の間の飲み方であろうと想像します。
もしお産した施設に母乳外来があるならば
鍵コメさまの気持ちも聴いてくれると思います。
(IBCLCやラ・レーチェ・リーグなどではお母さまたちの
悩みを聴くトレーニングを積んでいます)

知らずに行動したことは責められる物ではありません。
この先を気をつけて行くことが、
人間それぞれに出来るベストの限界だからです。

赤ちゃんのために、叱られるかもしれないと心配しつつ、
勇気を出して相談して下さったのですね。
ありがとうございます。

(なお、このブログを全部読むのは1200以上記事があって古い記事は今とは矛盾している内容のことも有るのでタグや検索を使って記事を絞って読む事をお勧めします)
Commented at 2015-08-18 18:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Dr-bewithyou at 2015-08-18 19:23
2015-08-18 18:54鍵コメさま>
ビール一杯くらいなら、、、の量を少し越えている量
ということなのですね。

残念ですが、そのご心配に対して、
上記に示したブログの記事以上の情報は私はお届けできません。

何かがあるから、、というのではなくて、
何かがあるかないかも個人差が非常に大きいこともあって
想像だけでは何も分かりませんので、
小児科の先生に、実際にお子さんの成長具合を診て貰う事をお勧めいたします。

今までの健診で、指摘されていることがないのであれば、
お子さんの成長には影響していないと考えて良さそうだと
考えられますが。

Commented at 2015-08-18 20:37 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by Dr-bewithyou | 2015-08-15 06:26 | 残したいもの | Comments(6)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


by Dr-bewithyou
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