平成 27 年度 乳幼児栄養調査結果の概要(厚労省)が発表されました。

平成 27 年度 乳幼児栄養調査結果の概要

の,発表がありました。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134460.pdf


情報メモです。


調査の対象は、平成 27 年国民生活基礎調査において無作為に設定された 1,106 地区内の世帯のうち、平成 27 年5月 31 日現在で6歳未満の子ども(平成 21 年6月1日から平成27 年5月 31 日までに生まれた子ども)のいる世帯及びその子どもとした。
結果の集計は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課で行った。調査協力が得られた世帯数は 2,992 世帯、6歳未満の子どもは 3,936 人であり、このう
ち、子どもの年齢の情報が得られなかった又は年齢が対象外等であった 65 人を除外した3,871 人を集計対象とした。
という調査結果の概要です。
無作為抽出した人たちにアンケート法で調査したものです。
母乳育児支援についての、お産前後の部分のグラフは以下のようになっています。

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綺麗な画像は http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134460.pdf で、ご覧になってください。


今は,乳児栄養を取り巻く環境は,過渡期なのだと往々にして思っています。ミルク=育児の神だと思われていた(そこには売上を上げるために生まれた乳業会社の非倫理的で非科学的な情報が闊歩し、赤ちゃんでお金を儲けようという意志が、赤ちゃんのためという形で隠されていました)時代から、母乳の良さや当たり前さが普及してきた時代に変わってきたという意味での過渡期です。
ミルクについての情報(量さえも臨床研究はなされれずに決められている)の不確かさを検討することがない位普及している上に、ミルクで育つ子しか見たことのない小児科医も沢山います。母乳が作られる生理学的、科学的、解剖学的な背景が判明してきたのはこの十年くらいでようやくなので、科学的な情報がそろう前に生まれた民間伝承を絶対的なものと思って母乳育児支援をする地域の助産師さんや栄養士さん,保健師さん、保育士さんがまだまだ多数派ではないか、と思うシーンも沢山あります。
お母さん達の「母乳が足りないかもしれない」「母乳が良いならミルクはあげない方が良いのかもしれない」という不安を坂手にとるような、効果の不確かなお茶等の販売の宣伝も沢山あります。ストイックすぎる修行僧並の食事制限が、母乳を続けることに不安を感じるくらい厳しく指導されている事も珍しく有りません。

普通にケア出来ていたならば、以前、ここのブログの 
に私の経験からの記事を書いたことがありますが、必要最低限の母乳を出すためのケアが出来ていたら,一か月検診にミルクを不要として育児出来ている人が6-7割位なので、行政機関などの数値目標が6-7割くらいというのは妥当なものだと私は考えています。また、お産の施設などが母乳を出すことを考えずに,昔からのミルクを併用する方法や母子同室をしていない場合での1か月健診時に母乳だけを上げている人は4割程度ではないでしょうか。そういう目で見ると平成27年の概況が示すものは、産前産後のケアが変わってきた可能性も示していると思いました。


このニュースでうれしいのは、母乳で育てたかったけど、あきらめざる得なかったとがっかりして自信を無くしているママたちが少しでも少なくなっているかもしれないということ。
母乳がマストではないけど、母乳育児のほうが楽だし、何かと便利だし、母乳で育てたいと思っているママたちが「育児の最初にあきらめがあった」という形にならないのがなにより。
という事をおっしゃっていました。



1滴でも母乳を飲ませる事が出来れば「母乳育児した(している)」お母さんです。
ミルクをあげたのは負けではなくて、ミルクも使ってお子さんを健康に生かし続けられてこそ勝ちだ,,と言うことではないでしょうか。

赤ちゃんが何で育つかというのは結果なのです。どんなに母乳が良いと言われても、本当に母乳が出ない人もごく稀ですがいますし、今のケアのスタンダードではミルクがないと育児に困る事が予想される人は5割はいます。
「何で」育てるかは選択する手段ではありますが,目標ではないのです。目標は赤ちゃんもお母さんも健康で有ること。しあわせであること。楽しい気持ちでいられること。満足の多い時間を過ごせること等の方だと私は思っています。


でも、母乳で育てたいと思う人が、育児の様々なシーンでミルクをあげない我が儘な人だと評価されるのは、それはそれで困った状況です。身体の個人差も大きいですから特に最初の頃は出る量とか、それに応じてミルクを足すならば量についてに疑問を感じても当たり前です。上げずに済むミルクをあげずに済ます事自体は、決して我が儘ではないはずです。

母乳育児を当たり前だと評価したとしても、それは勝手に自然に出来ないことも度々あります。誰もが何の苦労も努力もなく直接授乳することを開始して、母乳を出すことを維持出来るものではないため、痛みの無い授乳方法を見つけることなど自分1人の努力で辿り着くことの出来ない部分のケアも、母乳育児推進(これはミルクの,必要以上の普及に対する言葉として生まれたはずです)の名前のもとで必要とされています。それでも母乳が出てさえいれば様々な可能性の中から、栄養の方法を選ぶ事が出来ます。

もしも止まってしまった母乳の再開を希望する時に、母乳を出すのを再開させることは不可能ではないのですが、母乳が出ている時のメンテナンスよりはるかに不確かで、はるかに手間暇がなくてはならないのです。母乳を出し続けるために、母乳を止める仕組みや時間と私達は戦うこともあります。

直接授乳が出来るようになるまで産後2-3か月かかる事も有ります。乳腺炎などの痛みのある疾患を繰り返す人もいます。それでも頑張りたい人がもちろんいらっしゃいます。そのような時に医学的に安全を確保しながら、母親の希望に沿うようなケアも存在します。「ミルクでいいじゃない!」と決めていいのはお母さん達であって、医療者と言え周りの人ではないのだと私は信じています。再度書きますが、1滴でも母乳を飲んでいれば母乳育児です。その期間が延びると、結果的にトータルで赤ちゃんの胃に入る母乳の量もジワジワと増えて行きます。赤ちゃんにとって、良いものを上げたいと思う母の気持ちと、自分が方法を選んで赤ちゃんを守ったという自信とは、尊重すべきものであるはずなのです。


ということで、今年の秋にはIBCLCの資格更新の試験を受けます。
今,勉強中でブログ更新が滞っています。
楽しみに来て下さっている皆さま、ありがとうございます。
書きたいことは沢山あるので、時々,のぞいていただけましたら幸いです。



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四国でIBCLCに認定されるための継続教育単位の出る学習会の第1回目は宇多津で無事に終了しました。
興味のある方で参加出来なかった皆さまのために、2回目も設定できるよう準備していきたいと思います。

by Dr-bewithyou | 2016-08-26 00:31 | 応援メッセージ:支援スタッフ | Comments(0)

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