ハーローという研究者のサルによる動物実験の解説の動画です。英語ですが、字幕をつけるとそれほど難しい言葉は使っていないです。これは母乳育児の社会的背景を記載した本を読んだことがある人ですと、一度は目にしたことのある研究ではないでしょうか。
母親に対して子どもが求めるのは栄養か、ぬくもりかという実験です。動画を見ると今の時代だと動物実験といえ倫理的にかなりグレーゾーンの研究ですが、ハッとする結果を見せるものです。元論文を私は読んでいません。だから、これが一般的な反応か特殊なものかは理解していません。
情報メモとして、おいておきます。
赤ちゃんザルをこの2体のダミーの母親をおいたケージに入れてどちらを選ぶか?という実験です。
お腹が空くと哺乳瓶で栄養をとり普段は主にタオルでくるんだダミーの方で過ごしています。
また、積み木やタオルやオモチャをおいたケージに赤ちゃんザルを入れると何を選ぶか?という実験です。何もないとタオルを選びました。
怖いオモチャで驚かせるとタオルの所に行きます。
さらに先の実験のダミー母を入れると針金の方には見向きもせず、タオルの方にしがみつきます。
人間がこのような反応をするかどうかはここでは描かれていません。
つまり、端折ると赤ちゃんが生きるのには栄養と安らぎと両方必要でサルの子どもはそれを自分でシーンに応じて選んでいたという実験結果だったというものです。
育児のシーンの中ではいつも、赤ちゃんを抱っこしてばかりでは生活がなり立たないこともあります。だから、ずっと抱っこしておくことは不可能です。家族など人の手が多ければ、赤ちゃんを長い時間柔らかい温かいものに触れさせたままで生活を実現する事が出来ます。ミルクを1人飲みさせないと生活がなり立たない状態がある時、それは育児の環境として、すでに相当のムリがかかっていると言えるのかもしれません。
最近、とみにネットで「賢くミルクを使って」という言葉を見かけます。その後ろにはケアが行き届かず、見守られていない沢山の孤独な母親がいるのが透けて見えています。生活の便利のためにミルクを使っても問題のおこらない人も多いのですが、問題のおこらない人達は社会的にミルクを使っても医学的には必要ではない可能性があります。また医学的にミルクが必要な人では、赤ちゃんの健康のためにも母乳をあげたい人が母乳をあげ続けられる補足量の決定が必要ですが、多くの母乳外来では赤ちゃんの体重の確認も受けていないことがあります。ミルクで良いじゃない!と言う人がどの位、ミルクのことをご存じなのか不明でもあります。その人達がしているミルクの影響を知る努力が不足している怠慢からではなくて、まだミルク自体について知られていないことだらけだからです。
赤ちゃんを育てる人については健康で幸せな人という認識がまだ一般的です。最近、ようやく虐待や鬱(うつ)などのつらい問題が起きてからの対応に目が届き始めました。可能ならば、当たり前の毎日の生活でいかに母が健康のままでいて、いかに赤ちゃんが楽に健康に育つ環境を守れるのかに、目と必要な手が行き届く社会を育てていくことは、大人である私達の責任なのかもしれません。。。情報メモにしては長くなってしまいました。