この記事は、母乳育児支援のお話しではなくて、善き未来をどう育てるかという話題です。
このお洒落な紳士は、ここのブログでも時々出てくる井上真樹夫さんです。
告知のポスターを↑にアップしていますが,講演は終了しました。
これは第二次世界大戦(開戦時、日本での名称は大東亜戦争)での体験談を世界史とからめて、伝えてくださった講演会でした。
真樹夫さんは
↑などなどの記事とかでも書いているように私の学生時代からの,ヒーローでもあります。
少し,作品の説明をしますと、宇宙海賊キャプテンハーロックは、松本零士原作の未来の物語のアニメでした。松本零士の作品で、宇宙戦艦ヤマトとか、銀河鉄道999とかの名前を聞いた事がある人も少なくないかと思います。山陽新幹線の発車のときのホームで聞こえるメロディも映画の銀河鉄道999のエンディングテーマです。
ヤマトや999よりも、ハーロックを知っている人は少ないようですが、アニメの中では私が一番影響を受けた作品のひとつとなっています。
ハーロックは、平和でストレスが少なくなってしまった地球に宇宙の彼方から侵略者が来るという物語です。
食べ物も,娯楽も十分にある時代が、本当に自由で平和な時代か?というテーマがそこにずっと流れていて、同時にアニメは子どもをなだめるオモチャでいいのか?大人のこころを巻き込める表現手段になりえるのじゃないか?!という制作陣の志もかぶせた,意欲的な作品でした。
テーマは大きく2つです。
俺は俺の信じる旗の下でのみ戦う。
友達を守る。友達の大切なものは,自分の大切なものでもある。
若かった私にはそのシンプルさがガツンときました。もっとも勝ち負けだけでは人生は描けない,社会は乗り切れないと思って離れていた時代もありはします。離れていたときも、ずっと一歩踏み出す勇気が必要なときには,この井上真樹夫さんのハーロックの「アルカディア号 発進!」という号令に背中を押されていたものです。
私の中には1945年に終わった戦争の時代に対する強烈な疑問がずっとありました。「もし、その戦争がなければ」とか「どのようなことを目指して,最終的に日本は焼け野原になったのか?」とか、「実際に何があったのか?」という疑問です。
今では絶対悪とだれでも知っている戦争を、なぜ当時の人が選んだか?なぜ負けをえらんだのか?ということを考えるために、原爆や空襲の被害の記録も沢山読みました。小学校4年の時に訪れた広島の「平和資料館」での被害状況は,人が人に与えたにしてはあまりに異様で残酷で、その後、1週間は眠ることが怖かったです。小学校の夏休み帳には、広島県では必ず原爆の被害が描かれていて,そのページを開けるのが怖かったために夏休み帳はほとんど手つかずで提出したほどです。
大阪の予備校時代、大阪の人はそんな原爆のことも空襲のこともなにも知らない事も衝撃でした。私の生活費を稼ぎ出していた父が働く自衛隊は、違憲団体という扱いだったことも衝撃でした。そんなこともあって、少しずつ原爆・空襲被害や、なぜその戦争がおきたかについていろいろな本を読むようになって来ていました。アウシュビッツ捕虜収容書生き残りのフランクルの「夜と霧」を始めとした作品で、人の残酷さ,人の崇高さにも出会ってきていました。
そうやって既に多くの被害状況について,私の頭の中では飽和した状態だったので真樹夫さんの戦争体験の講演を聴くにあたって、子ども時代の遥か昔の記憶から何か得られるのかについては,実は心許なかったのです。それでも昔からのヒーローのリアルな声が聴ける貴重な機会だ!と博多の学会が済んでから、新幹線で刈谷市に向かいました。名古屋から東海道本線で30分もかからない場所です。
演題に現れた真樹夫さんは、80歳を越えてもピンと背中の伸びたお洒落な紳士でした。
彼は昭和13年に生まれて、その人生を世界史と絡めた進行でお話をしてくれたのです。私が知っている沢山の情報は時間軸には沿っていませんでした。沢山のことを調べているからこそ、どのように時代が進んできたのかが曖昧になっていました。
「この世界の片隅に」でも、その時代を沢山の人が普通に生きていたことにむしろ大きな衝撃を受けたのですが,真樹夫さんの講演でもそう思いました。不自由な時代を人は生き抜いてきたのが、世界史とともに伺うことでより鮮明に浮かび上がってきたのです。
ただ、空襲は、五歳の真樹夫さんの記憶から消えない恐ろしい体験となりました。町は焼かれてなくなり、元々不自由だった食生活も貧相さをきわめてきていきました。「この世界の片隅に」の呉市にいた鈴さんは楽しそうに不自由な食材を使った料理をしていましたが、軍港よりもさらに食事環境が逼迫していた町が焼き尽くされるという出来事がおきたのです。
空襲では死なずに生き延びられても兄弟の人数は多く、2歳の弟の衛(まもる)さんはますます悪くなる食事事情の中で弱っていき、真樹夫さんのお母さまも生きるのが精一杯で、衛さんは母乳も飲まなくなり消え入るように亡くなったのだそうです。(1日1500Kcal以下の食生活が続くと、母乳の成分も変わり,母親の消耗も進んでいたはずです)
巻き込まれてしまったら,その場所で生き抜いていくしかないのですよね。どんな災厄や災害も。
巻き込まれない生き方、巻き込まれない社会。でも、萎縮したり、自分の気持ちを押し殺しすぎ足りしない社会はどう育てるか。それを考えるのは、すごく面倒なことです。
上にも書きましたが「勝つか負けるか」の2極で世間を見るのは簡単ですが、それでは解決しない問題が世の中には沢山あります。未来を「どうまもるか」を実際に選び取りながら実現していくか?美学をいきるか?は、ひとりひとりが考えて選んでいく責任があるのだ、と真樹夫さんは伝えてきました。
真樹夫さんが参加したSFドラマ「安堂ロイド」の台詞がまさにそれです。「大人には未来に誇れる今を作る責任がある!」と。
とりあえず今をなんとかやり過ごす生き方しか出来ないときもあることでしょう。だけど、そうなる前には常に、より沢山の幸せを手放さないのに欠かせないものはなにかを考え続けるのも大人の責任として胸に秘めながら,楽しく生きていく大切さをいただけた講演会でした。
真樹夫さん、スタッフのみなさま、考えるきっかけと、楽しい時間をありがとうございます。
プロの産婦人科医が上の写真↑みたいに笑顔でいいのか?と思いましたが,記念に残させていただきます。
前の日は、博多で日本女性医学学会でした。
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about me: さぬき市民病院 産婦人科勤務
(産婦人科医・外来のみ、R元年/9月より)
次の四国での母乳育児支援学習会は今のところ未定です。
継続しておこなって行く予定です。
twitterでも当ブログの以前の記事にどのようなものがあるか、ご案内しています。
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