新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により
いまだかってない窮屈な生活を
みなさんはなさっているかと思います。
気持ちも滅入ってつらく感じられることも
決して少なくないかと思われます。
本当に大変だと思います。
元気でも外出を控えている
すべてのお母さんたち、お父さんたちに
お見舞い申し上げます。
さて、今日のテーマは「授乳中の発熱」です。
この季節なら例年ですと、授乳中の発熱は多くが
乳腺炎またはインフルエンザです。
に載せていますが、以前に日本母乳哺育学会で
私が発表した母乳外来をまとめた中の一枚です。
インフルエンザの多くない季節で
授乳中の乳腺炎によるお熱が多めになっています。
今年はここに、
まだワクチンもなくて治療薬もない
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が
発熱を認める病気として加わりました。
8割の人は、風邪やインフルエンザのような
症状で治まっていますが、
2割程度が重症化しています。
コメディアンの志村けんさんもこのCOVID-19で
お亡くなりになるという残念なことが先日
おきたばかりですね。
JALCがまとめた各専門団体のガイドラインなどのうちの 母乳育児に関するものはこちら↓で確認できます。
どんどん新しい情報が届いていますので、
もっと最新の情報がないか確認してご利用下さい。
それでは過去に
新型インフルエンザが流行ったときには
どのようなことがあったのでしょうか。
当時私が勤務していたクリニックでは、
感染のリスクを避けるために申し訳ない事に
発熱者は病院の隅の隅の風通しのいい空間で
診察させていただいてました。
なので乳腺炎もお熱が出ますから、
建物の隅の隅の発熱診察コーナーで
さっと診察してさっと帰宅してもらってました。
(私の母乳外来の経験者だと、多分、いつもと
全く違う事にお気づきかと思います)
当時の新型インフルエンザはすぐにワクチンも
治療薬も手に入ったので、今のような外出自粛は
求められませんでした。
ここで、授乳中のみなさまにお願いです。
「授乳中の乳腺炎で
発熱する前に
今,乳腺炎に
なりかけていると
気付きましょう!
そして、
予防しましょう!」
です。
発熱してしまいますと、未知の部分の多い感染症が
流行っているときには、ありふれた乳腺炎さえも
速やかに診断するのがむずかしくなるからです。
では、予防方法が必要ですね。
残念ながら食事は乳腺炎を予防しませんし
食事では乳腺炎は治しません。
ただ、育児にガッツリ入り込んでしまって、
貧相な食事が続いているときは、
あったかいものが食べられたほうがいいし、
お肉やお魚、お野菜は食べた方がいいです。
でも、ケーキや焼き肉は乳腺炎の原因ではなさそうだ、
(ABMは医師だけが会員になれる世界母乳学会で
多くの母乳育児に関する情報を提供してくれています)
↓は研修医先生へのカンファレンスのスライドです。
おっぱいは、水道みたいに簡単に
出したり止めたりはできない、ということで
水道のイラストを添えています。
ではどうすれば予防できるのでしょうか。ABMのプロトコールを見直してみましょう。
↓は脂肪が乳管を詰まらさない顕微鏡レベルの解説になります。少しむずかしいので、飛ばしても構わないです。(パソコンのブラウザだとスライドが巨大でごめんなさい!)
とにかく、乳腺炎にならない!ためには上の「誘因」を避けることが大いに役立つということです。
トラブルを解決できる授乳姿勢を見つけるのにはいつものLAYLAちゃんの授乳姿勢が役立ちます。このブログにある乳腺炎のもう少し詳しい記事はこちらです↓
結論として、なによりも大切なのは疲れたならば,授乳中のお母さんといえども「休む」ことです。
頑張って何とか回っている毎日かもしれません。でも、COVID-19でもないのに、熱があるからと言うだけで、乳腺炎だと自信があっても診察して貰えないことは残念ながら起こりうる状況です。
COVID-19にかかった時の対応は、日本産科婦人科学会においては、赤ちゃんを触らず,,ミルクをあげるという指針で動いています。
他の団体は接触性感染、飛沫感染を防ぎつつ直接授乳するか搾母乳をあげるような指針です。この日本産婦人科学会の指針ではCOVID-19で急に断乳したときに,乳腺炎で発熱するリスクと出会う結果になることもあってとても悩ましいところです。
授乳中に疲れて,少しおっぱいが痛くなると、身体は休ませて,おっぱいは働かせる、、、つまり、どんどん飲んでもらうことが役立ちます。
搾りすぎると,母乳を作りすぎて余計に乳腺炎が悪くなることがあります。なので上手く飲めなくて搾乳するときはティッシュペーパー1枚程度を乳首の周りだけ搾るくらいにおさえておくことも大事なことになります。
どうか、この未曾有の感染症にかかるひとがひとりでも少なくすみますよう心より願っております。
記事や写真・イラストの無断転載はお断りします
医療的な事を扱うため個々の症例の質問への回答は
責任を持てないため、基本的に行っておりません。
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about me: 坂出市立病院 産婦人科勤務
(産婦人科医・外来のみ、H27年5月より)
次の四国での母乳育児支援学習会は今のところ未定です。
継続しておこなって行く予定です。
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