先日、あるIBCLCが
「最近一か月検診で授乳を右5分左5分の
短時間の切り替え授乳している人が
多い印象ですね」
と疑問を持たれていたので、
twitterのアンケート機能を使って
確認をしてみました。
twitterのアンケート機能の性質上、
以下の制限があって、
傾向がわかるだけとも言えます。
こちらが希望している対象の人が
投稿しているか不明。
間違えても訂正出来ない。
1人でいくつか回答があるときに
選べない。
主に戸田のフォロワーが回答。
それをご理解した上でごらんください。
↓これが回答です。
質問:母乳育児している人またはしていた人かその関係者にお尋ねします。1回の直接授乳時間は、痛みなどのトラブルのない場合ではどの位だと教わりましたか?①ほしがるだけ・・・・・・ 47%②左右それぞれ5分位ずつ・・40%③教わらなかった・・・・・ 13%④搾乳だった・・・・・・・ 0%
そのアンケートへの反応や解説のtweetをまとめたのが以下となります。https://togetter.com/li/1760177このまとめはTwitterのアカウントを持っていなくても読むことが出来ます。
お読みになってどのような感想をお持ちになったでしょうか。
私の周りにいる母乳育児支援を行う人間は一様に「5分ずつが多すぎませんか?」と言う感想を持ちました。
5分5分の時間を制限する授乳は母乳育児の多くのトラブルに結びついているのにもかかわらず、母子別室の産後生活を送る産院の多くで採用されている授乳方法です。
さて、欲しがるだけ飲ませる授乳と5分飲ませて反対側を5分飲ませる授乳と、それぞれの持つ特徴をまとめてみます。
子どもが欲しがるだけ授乳する利点母親が困っていない場合はまとめにもありますが以下の利点があります。・脂肪分の多い後乳が口に入るので 子どもが満足する。・脂肪分の多い後乳が口に入ると 体重が増える,脂溶性ビタミンが口に入る。・おっぱいの張りがおさまるのが早い。・時計を気にしなくてすむ。
欲しがるだけ授乳した場合の欠点は・終了時間が思い通りにならないことがある 、、、のですが、だからといって 次の授乳までの時間があく きっかけになることが多いので、 完全に欠点とも言いがたい所です。
一方で,5分5分授乳の母子への利点・予定通りに授乳を切り上げられる 、、、はずですが、その後に搾乳したり ミルクを調乳してあげたり、 すぐに泣いたりするので、 果たして予定通りの時間で 終わったと言えるのでしょうか。・ラッチオンが上手く行っていないとき 乳首の痛みや傷つき方が減る (のですがこのアンケートの条件は乳首など の痛みが無い前提ですから対象となる 人がいないことになります)
5分5分授乳の母子への欠点これが原因で困る母親が以下のように多いです。・脂肪分の多い後乳が口に入らないので 児がすぐに次の授乳を求める・脂肪分の多い後乳が口に入らないので 体重の伸びがゆっくりになる・上記から、不要なミルクを補足する 事になった結果,早くに母乳育児に つまずいていく人が増える・おっぱいの張りが続きやすい・時計を気にするので母親の気持ちが 落ち着かない
まとめの中に書きましたが、産院で指導する人にとっては5分5分つまり10分で授乳時間が終わるれば時間配分ができて作業を効率よく進めるのに計画が立てられることは、少ないスタッフで安全を守るのに、不可欠だと考えている人がいても、責められないようにも感じます。
授乳で痛みがある時は、母乳育児支援の基礎を学んでいない人だと、5分5分の切り替え授乳を勧めることもあることでしょう。(それでは授乳の痛みの解決には なかなか辿り着かないと思われますが)
とは言え、赤ちゃんもお母さんも、初めての授乳にはたくさんの練習がいります。お母さんが二度目以降のお産だとしても、この子との授乳は初めてなのです。
産まれてすぐのSkin to Skin(早期接触)では分娩誘発や休息墜娩(鉗子分娩や吸引分娩)を使うことなく生まれた赤ちゃんは平均して50分位で、自分で母親の乳首を見つけてくわえることが出来ます。↓はDr. Lennart Righard の研究を元にしたビデオです。
https://www.geddesproduction.com/product/delivery-self-attachment/
↓はColsonさんという医学博士が書いた 生物学的な授乳方法の教科書をビデオに したものです。 このビデオを見ていますと、 生まれてからしばらく経った子どもでも、 自分で母親の乳頭・乳輪を見つけて くわえるのにだいたい20分かかっていました。https://www.geddesproduction.com/product/biological-nurturing-laid-back-breastfeeding-for-mothers/
つまり5分で切り上げる授乳というのは実地で授乳を行うためには余りに短い時間で、練習でも指導でもなく、1つの儀式なのではないかと感じます。
そして、上に書いたように利点がほぼない5分5分の取り替え授乳を半分近くの母親が指導されている事実を、どう考えたらいいのでしょう。
産院は人手不足です。時間をかけた指導が難しい施設もあります。お母さん達が、長く授乳したいと言うとイヤな顔をされるかもしれません。
今の時代は、産後に授乳の指導をするときに5分5分で交代していくように指導する施設では母親は、指導されたとおりにしておいて、いっそのことできるだけ早くに退院して、自宅に着いてから,子どもが欲しがるたびの授乳をするのも、痛くなければそれも1つの選択肢とはなりそうです。
5分5分授乳の指導をうけても、母子同室であれば長めに飲ませる事も可能そうですが、もし痛みが出たら、「5分5分で!と言いましたよね!」といわれるかもしれないので痛い時は頑張りすぎないようにしましょう。
痛くない授乳は慣れではなくて、練習で身につくものだからです。搾乳で母乳の量をふやすことで状況はいくらでも変わります。
産後2日目くらいまでは搾りすぎないようにします。度々、少しずつ搾るだけで我慢します。
その後、おっぱいが張りすぎないようになってからは、出す量が増えれば、出る量も増えていくので、最初は、頑張りすぎないようにしましょう。
、、、解決のための回答でなくて申し訳ないです。ただ母乳育児支援について学んでいる人は増えています。5分5分の授乳はツラいです、と正直に相談して見る必要もあるのかもしれませんね。
母乳育児についての情報はを参照しました。
絶対に正しい育児方法はないです。産院で指示されたことに疑問が湧いてもまずはその通りにしてみても劇的に不調が出る人ばかりではないのです。
上手く行かないな,と思ったときに、この記事が色々工夫するきっかけになりましたら幸いです。
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about me: 坂出市立病院 産婦人科勤務
(産婦人科医・外来のみ、H27年5月より)
次の四国での母乳育児支援学習会は今のところ未定です。
継続しておこなって行く予定です。
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