乳腺炎

おっぱいライフの中でも、痛みや発熱という辛い思いをする乳腺炎。

簡単に入手出来る資料は、まず英語ですがWHOの「Mastitis :causes and manage (乳腺炎:病因と管理 」や、日本語では日本ラクテーションコンサルタント協会(H26/6月リンク確認)からダウンロード出来る母乳育児医学アカデミー(ABM)の臨床指針(翻訳文.パソコン/スマートフォンのみ)などです。(H24/10月リンク修正)

この度の、医師のための母乳育児支援のための学習会で学んだ乳腺炎の内容が興味深かったので、じゃあ、うちの外来で扱っている乳腺炎はどんなだろう、と、カルテ整理をしてみました。その結果で興味深かったのが、乳腺炎の発生場所でした。

d0063558_22183062.jpg

これは中心から外に向かって数の増えていくグラフです。一年間に外来を受診して乳腺炎と診断した延べ123名の累計なのですが、
左より右。下より上。内側より外側。
にしこりが出来る。つまり、ラッチオンとポジショニングに気をつけないとこの部位は飲み残しが多いと言う結果です。赤ちゃんの呼吸を気にするあまりにどうも鼻とおっぱいの間にすき間が広過ぎるママが少なくないのかもしれません。一般に、しこりのある方向に、上顎または下顎が当たるとうまく乳汁を飲み取れると言われています。

つまり、グラフが長く伸びている方向は、どちらのあごも当たっていない可能性が考えられます。それぞれの乳腺炎のママは、それぞれに色々な状態で受診されますが、飲み残しの無いラッチオンを心がけることで、突然のインフルエンザ様の発熱で病院に行くこともある程度は避けるチャンスがあると言うことなのだと思いました。

母乳は上げたい。でも痛いのが怖くて、、と言うことになる前に、ちょっとだけ乳腺炎にならないメンテナンスを心がけていくことも大切だと改めて気付くデータとなりました。私たち支援スタッフからの情報提供と、ママ達の用心とで、乳腺炎の膿瘍形成や敗血症などの重症化を可能な限り避けていきたいと思います。




乳腺炎はありきたりな病気な割に、きちんと診てくれる病院が少ないことがママ達の苦労の種となっていることをしばしば耳にします。

「抗生物質を出すので、授乳はやめてください」
(授乳中でも出せる抗生物質はあります)
「おっぱいにバイキンが混じっているので授乳はやめてください」
(健常な母親の乳腺炎から赤ちゃんに明らかな感染症が出た
  と言う報告はないとWHOの資料にありました。ただしHIV陽性のママは別です。)

「おっぱいがカラになるまでしっかり搾ってください」
(詰まっている乳管からの乳汁を搾り出すことが出来ずに、
  詰まっていない健康な乳管からだけ搾っていることをしばしば認めます)


等々の指示を受けていることが少なくないです。ありきたりな病気なのだけど、ありきたりすぎて医療・保健従事者がきちんとした学習を重ねていない病気でもあります。また、ママ達も「インフルエンザ?」と思って病院に行くのだけど、尋ねられるまで乳房痛に気付いていない人たちもいて、乳腺炎の可能性に気付いていないこともあります。こんな病気があるんだよ、と言うことを意識することも、大切なのかもしれないですね。
Commented by imai at 2009-01-13 18:24 x
夜中にゾクゾクと寒気がして、「これは風邪をひいてしまったかな?」と思った数時間後、39度近くの熱。インフルエンザだと思いました。しかし、乳房が痛かったので、「こんなところにリンパ節あったっけ?」と考えたくらい、まさか自分が乳腺炎になっているとは思いませんでした。

産婦人科に行くと痛いしこりをゴリゴリと揉まれるのだろう、と想像しつつ、でもしんどさには勝てずに重たい体を押して病院へ。

そこで、偶然に先生に診ていただくことができました。乳首を押してちょっと黄色くなったお乳を出して頂き、授乳時の正しい姿勢を教わり、あとは赤ちゃんに飲んでもらうことに。
今は熱も下がり、まだちょっとしこりが残りますが、赤ちゃんに飲んでもらってます。しこりのある方向に、上顎または下顎を当てて飲ませるよう、やってみます。

乳腺炎は痛くて、高熱に参りましたが、先生に診ていただき、正しい授乳時の姿勢を再度教えて頂けたので本当に助かりました。ありがとうございました。

Commented by Dr-bewithyou at 2009-01-13 22:10
imaiさま>
体が楽になったご報告をありがとうございます。

時にインフルエンザよりも乳腺炎の方がしんどい場合が有ります。
無事乗り越えたimaiさまと赤ちゃんとのチームワークに拍手です。

しこりが一週間以上経っても続く時は、
念のため、外来受診してくださいね。

赤ちゃんの抱き方、くわえさせ方の奥の深さを、
こうして乳腺炎を乗り越えたお母様のことばを
聞くにつれて感じさせて頂いています。

どうか、ハッピーな
おっぱいライフを過ごして行けますように(*^^*)
by Dr-bewithyou | 2006-12-17 16:31 | 問題発生 | Comments(2)

赤ちゃんとのつきあい方の情報メモ。母乳育児支援(おっぱいライフ応援)をしている産婦人科医・IBCLC 戸田千のブログです♪ 下方の「ブログの説明」に利用上の注意もありますので必ずご覧になってください。


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