学習会ピックアップ(ミルク産業のマーケティングに関して)
2007年 06月 23日
今回の学習会はすっきりしたプログラムで、ゆったりと進行しましたが、新しい話題が満載でした。
ガブリエル・パーマーさんのお話しは橋本武夫先生監訳の「母乳育児の文化と真実」という本の内容に「母ちゃん」らしい笑いを交えて、話しは内容以上に話し方が影響すると言うことも伝えてくれました。
ミルクを全否定するのではありません。本当にミルクが必要な人は全体の一割程度はいらっしゃいますから安全で高品質なミルクは私たちに必要です。
ただ高品質な製品を「限られた」市場に投入して利潤を上げるのはとても大変なことで企業の社会貢献の意識が問われるところですが、ネスレを始めとした乳業会社さんの多くが「市場を拡大する」という一般製品のマーケティングの方法をミルク産業の成長(または成功)のために選択したことから問題が生まれる歴史をガブリエルさんは話されました。赤ちゃんを守る筈だったミルクが実は逆に多くの乳児死亡を生んだ事実を一般の方(もしかしたら医療や保健に従事する専門家の方も)はどのくらいご存知なのでしょう。
ガブリエルさんはただその現実を悲しむ人ではなくて行動する人で、母乳育児を守るためのイノチェンティ宣言や母乳代用品のマーケティングに関する国際規準などの啓蒙に取り組んでいらっしゃいます。こういうお話をすると不要なミルクで赤ちゃんの健康を損なった人達が自分を責める可能性があるけれどもそれを恐れて次の悲しみをうみ続けない選択が要るだろうと話されていました。だからといって知らなかった自分を責める必要は全くなくて、むしろそういう情報を教えてもらえなかった世の中の仕組みに対して悲しみ、憤っていいのだとおっしゃいました。それも世の中の多くの運動家の方達に見られるぎらぎらした熱さではなく、母ちゃんらしい自信に満ちた笑顔でさらりと語る姿に、母乳育児がどれほど当たり前なことかということを逆に伝えてきました。
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写真はビー玉です。小さい普通のサイズのビー玉が1日めの赤ちゃんの胃の解剖学な容量で、大きいのが4日めだそうです。Riordanの教科書で確認したら微妙な差はありますが、赤ちゃんの胃が思いの他小さいのは間違いないようです。これは、1月の横浜の学習会で教わった情報です。