母親のタバコは父親のタバコよりも子供に影響する
2007年 10月 09日
実は私の父は私が10歳になるくらいまで愛煙家でした。ピース、ハイライト、チェリー、セブンスターと、新製品が出るたびにタバコの銘柄は変わっていきながらもタバコの匂いは子供心に「お父さんの匂い」として好ましい匂いの一つでした。その頃、世の中のお父さん達の多くは愛煙家でした。
井伏鱒二「黒い雨」のモデルになった方の日記を読んだ時も、胸ポケットから出したタバコに火がつかないと思ったら汗でびっしょり濡れていた、、、そのような文章があった記憶が有ります。戦争の頃には、タバコと言うのは戦地では通貨の代わりにもなりそうに値打ちの有る文明に認められた嗜好品だったと言う歴史が有ります。
時代が進んで現代では、タバコの害がどんどん見つかっています。タバコと肺ガン、タバコと喘息、タバコと肺気腫、タバコと歯槽膿漏。。。
直接吸っている人に対する害に続いて「間接喫煙」の害も明らかになってきました。夫がタバコを吸っている場合妻は肺ガンに限らず乳がんや子宮ガンのリスクが高まり、気管支喘息のリスクが高まること等が見つかってきて、今では多くの公共施設での禁煙が広まってきています。昔、新幹線は改札口から一番遠い1号車とか2号車が禁煙車両でしたが、今は、、、喫煙車両の方が遠くになっていますよね?(もしかして全車両禁煙になっているのでしょうか?)航空機は全面的に禁煙です。そして、タバコの匂いは「お父さんの匂い」と言う好ましい印象の匂いから「臭い」匂いの仲間入りとなってしまいました。
この読売新聞の記事は、コチニンというニコチンの分解物質を調べる手法を使ったものです。↓に元記事を貼り付けていますが、
父親だけが喫煙する家庭の子供のコチニン濃度を1とすると
__母親だけが喫煙する家庭の子では4.7倍
両親とも吸わない子の尿のコチニン濃度を1とすると、、、
__母親だけが喫煙する家庭の子では10.5倍
__母親がベランダで吸う家庭の子では4.5倍
そして、コチニン濃度の高い子供たちにメタボリックシンドロームのリスクが高い傾向が認められたとのことです。子供、特に赤ちゃんはママに「タバコはイヤ!」と伝える術を持ちません。つい最近に母親がタバコを吸うと赤ちゃんの睡眠に影響すると言う記事をこのblogでも取り上げましたが、何が原因かわからない泣き方で伝えるのが赤ちゃんにとっての精いっぱいの表現になります。
先日、何かの記事(確か、地元の医師会の会報だと記憶するのですが)で、台湾では妊婦の喫煙は罰金刑になる犯罪と言う扱いを受けていると言うものも読みました。
ママは赤ちゃんのために沢山の物を我慢することが度々有ります。そのためにイライラするのか、それを「私ってすごい」ととらえられるのか、で、生活の質や楽しさも随分変わってくることでしょうけど、このタバコに関して、止めることが直接イライラに繋がる(ニコチン中毒の一つの症状では有るのですが)ことが、禁煙を難しくしているようです。
是非、ご主人さんやご両親さんは禁煙しようとするママの思いを見つけたら、応援してあげてください。そして、少しでも節煙出来たり禁煙出来た時には多いに褒めてあげてください。そのくらいしか、ご褒美のない禁煙というチャレンジですが、何のご褒美もないよりは(赤ちゃんの健康と言うご褒美を素直に受け止められるママはとっくに禁煙出来ていることでしょう)、やる気に加速がつくはずです(^.^)
禁煙は、赤ちゃんへの最高の贈り物の一つです。
もちろん母乳も、赤ちゃんへの最高の贈り物の一つです。
赤ちゃんは、「健康」と言う形でママにお礼を示してくれることを楽しみにできたら素晴らしいことです。禁煙出来るママはカッコいいと思います(*^^*)
元記事です。
「母親喫煙」子供への影響、父親の場合の4・5倍に
母親が喫煙する家庭の子は、父親が吸う場合に比べ、体に入ったニコチンの分解物質(コチニン)の値が約4・5倍となることが、埼玉県熊谷市の小学4年生約1000人の調査で明らかになった。
生活習慣病の予兆がある子は、受動喫煙しやすい家庭環境が多いことも判明。同市は小学4年生の希望者を対象に、全国でも珍しい「受動喫煙検診」を行うことを決めた。
研究を行ったのは市内の開業医、井埜利博・群馬パース大客員教授ら。2002年からの5年間で、両親が調査に同意した熊谷市の小学4年生計1048人を対象に、尿に含まれるコチニン濃度を調べたほか、両親の喫煙習慣、喫煙場所などをアンケートで尋ねた。
その結果、父親だけが吸う家の子はコチニン値が平均で1ミリ・リットルあたり約4・5ナノ・グラムだったが、母親だけが吸う子は平均で約21ナノ・グラムだった。
母親だけが喫煙する家庭の子は、両親とも吸わない子に比べ、尿のコチニン濃度が約10・5倍に高まった。母親が外やベランダで吸っている場合でも約4・5倍になり、吸う時だけ場所を移っても、受動喫煙の影響が出ることがわかった。また、肥満や血圧が高い傾向がある子は、そうでない子に比べてコチニン値が約3倍になり、生活習慣病になりやすい傾向もみられたという。
こうした結果を受け、熊谷市は、児童の尿中コチニン値を調べる受動喫煙検診を、小学4年時に行う小児生活習慣病検診に合わせて、今月から希望者に実施することを決めた。
(2007年10月9日14時35分 読売新聞)