風を感じて、空の高さを感じて、季節を感じて
2005年 06月 08日
「あると便利なもの」は色々あるのだけど、「お産を乗り越える体力」も、あると便利です。便利ということばはちょっと使い方がずれていて、むしろ「あるべきもの」とでも言うところでしょうか。20代前半までの無限にあるのではないかと思った体力は、残念ながら年とともにだんだん下り坂になってきます。2日は平気だった徹夜が1日しか出来なくなったり、疲れが残り始めたり。
生活が楽になってきて、ちょっと離れたところのスーパーに自動車で行き、退屈だったらテレビをつけたら何か面白い番組をしてて、家事も電化製品やお任せのサービスが増えてきて、その便利さのために失いつつあるのが「体をどんどん自分の思い通りに使う器用さ」と「体力」かもしれません。
でも、生まれてすぐの赤ちゃんは、空気に慣れるまでちょっとした事でおびえて泣いたり、お腹の中にいたときには感じなかった大きな音に驚いたり、新しい生活に戸惑ってしまうもの。それはどんな豪傑な性格を生まれ持った赤ちゃんでもそのように見えます。
しかも、お腹の中では20分前後寝て20分前後起きて、と言うリズムで生活していたので、生まれてきてからまとめてずっと寝てられるようになるのはおっぱいが一杯出るようになってから。お産を通り抜けたその後3〜4日は、赤ちゃんを抱きとめて優しい声をかけてあげながら泣くと授乳してあげよう、という気持ちのままに赤ちゃんと付き合っていると、一日に25回とか30回とかの授乳をしているお母様も珍しくありません。(赤ちゃんが寝てばっかりいるときには「起こしておっぱいをあげてね」と指導することもあるのですが)
痛い陣痛は大変。でも、その向こうに赤ちゃんとの「ハネムーン(?)」が待っています。お産を通り抜けたあとに、赤ちゃんの顔を見て声を聞いて体温を感じてゆっくり穏やかに過ごす時間だと思います。
それが残念なことに「お産で疲れているのだから、ゆっくり休まないと体が持たない」と信じて、赤ちゃんを新生児室で見てもらわないといけない。というのが、今のお産後の「常識」になっています。赤ちゃんを見ても見ても見飽きないと言う表情でお産後のお母様が我が子を見つめている姿の神々しさ。また、夜に目一杯授乳に頑張ったため昼間に回診の足音を聞いても爆睡しているおやこの愛らしさ。そういう姿を見るにつけ、産後は休まないといけないという常識に疑問が湧きます。
そして、その疑問と「ユニセフの母乳育児を成功させるための10カ条」の指示することを楽に結びつけるにはどうしようか。・・・あぁ、そうか。お産で疲れなかったら良いのね。と言うことで、持久力を育てるためのウォーキングを安静の必要のないお母様方にお薦めしています。
日々歩くことで、ご近所の方が「こんにちは」と声をかけてくれて知り合いが増えたと言う方もいらっしゃるみたいです。(都会では難しいことなのかもしれないですが)
育児を楽しむのに、あると便利なもの、として「体力」。いかがでしょう?(^0^)